空き家問題が深刻化する日本において、居住中の住宅であっても深刻なダメージを受ける「害獣被害」。市近郊の住宅街でも増加傾向にあります。平穏な暮らしを突如奪われたある一家の事例を通して、住まいの維持管理に潜むリスクについてみていきます。
「なんか臭い…」月収45万円・48歳サラリーマン、ある夜に気づいた異臭。築15年のマイホームを襲った“黒い来客”の正体 (※写真はイメージです/PIXTA)

住宅街に潜む異変と兆候

埼玉県内の住宅街にある、築15年の注文住宅に住む佐々木大介さん(48歳・仮名)。異変に気づいたのは、昨年の初夏のことです。佐々木さんはメーカーに勤務する会社員で、月収は手取りで約45万円。妻と子ども2人の4人家族です。

 

「最初は、ベランダに黒いゴマのような粒が落ちているな、という程度にしか思っていませんでした。サッシの溝に溜まる汚れだと思い、何度も掃除していたのですが、翌朝にはまた同じ場所に溜まっている。そのうち、屋根裏から『カサカサ』という音が聞こえるようになり、家の中に妙にツンとした臭いが漂い始めたんです」

 

佐々木さんが専門業者に調査を依頼したところ、屋根の瓦の隙間や通気口に、約50頭のアブラコウモリが住み着いていることが判明しました。

 

アブラコウモリは別名「イエコウモリ」とも呼ばれ、市街地の建物を好んで住処にします。環境省の資料などによれば、彼らは1.5センチ程度の隙間があれば容易に侵入が可能です。

 

佐々木さんの家は定期的な外壁塗装も行われていましたが、業者が指摘したのは「シャッターボックス」や「換気口のフード」の裏側といった、日常生活では目につきにくい死角でした。

 

「業者の人が屋根裏に入って撮影した写真を見て、言葉を失いました。断熱材の上に真っ黒な糞が積もっていて、壁紙の裏まで尿が染み出していたんです。あんなにメンテナンスしてきた家が、見えないところで汚損していた事実に愕然としました」