高齢者の資産保有状況と実際の金銭感覚には大きなズレがあることがあり、そのことが家族間のトラブルに発展することも珍しくありません。十分な老後資金をもつ男性が、長男から絶縁を突き付けられるに至った経緯から、高齢者の金銭感覚について考えます。
「そのお金、あの世に持っていく気か!」45歳長男ブチ切れ。〈老後資金8,000万円〉〈持ち家あり〉の78歳父、家族と「絶縁」のワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

ご祝儀は親戚一同金額を揃えるはずだった…

「父親にちゃんとした資産があることは、親戚一同が知っていました。だからこそ、あの場であの金額を包んだ父親の行動が許せなかったんです」

 

都内在住の田中学さん(45歳・仮名)は、半年前の出来事をそう振り返ります。学さんの父親である茂さん(78歳・仮名)は、大手メーカーの管理職を定年退職し、現在は持ち家で暮らしています。退職金や現役時代の蓄え、そして運用益を合わせると、茂さんが保有する金融資産は約8,000万円にのぼります。年金生活を送るうえで、経済的な不安は一切ないはずの状況です。

 

しかし現在、学さんは茂さんとの連絡を絶っているといいます。確執の引き金となったのは、茂さんの甥(学さんのいとこ)の結婚式でした。式には茂さん、そして学さん夫婦も出席しました。学さんは、夫婦で7万円のご祝儀を包んだそうです。

 

「叔父から、子ども世代は1人3万円、夫婦なら(奇数にするため)7万円、親世代は1人なら5万円、夫婦なら10万円と、親族間で差がつかないようにと連絡がありました。私たちは言われた通り、7万円を包んで式に出席したんです」

 

事件のきっかけは挙式から数日後。叔父から1本の電話が入りました。

 

「叔父から、父親が3万円しか包んでこなかったことを聞いたんです。『親戚一同、差が出ないよう、横並びにしようと決めたのになぜ?』と聞くと、父は『自分は年金暮らしなのだからこれで十分だ』と主張し、まったく取り合わなかったといいます。気持ちが収まらない叔父は、私にまで連絡をしてきたというわけです」

 

あまりに非常識な行動に、すぐ茂さんに連絡を入れたという学さん。しかし茂さんは「今の時代、お祝いは気持ちの問題だろうよ。自分は年金で暮らす高齢者なのだから、無駄な出費を抑えてお金を減らす必要はない。向こうの方がおかしい」と取り合ってくれないばかりか、叔父側のルール設定を批判し始めたといいます。