歯を食いしばりながら働き、ようやく迎えたはずの定年。悠々自適な第二の人生を思い描いていたとしても、その計画が思わぬ形で崩れ去るケースが少なくありません。そのきっかけが、最も身近な存在であるはずの配偶者というケースも珍しくないのです。

今なお、別れた妻にはいいたいことがあるようですが後の祭りです。このような姿勢がまた、子ども家族も遠ざけ、最近は孤独感に拍車がかかっている様子。
また生活も日に日に苦しくなっています。年金も財産分与の対象となり受給額は月14万円となった桑原さん。家事力ゼロでは何かと費用がかさみ、年金だけでは到底足りません。さらにここにきて急激な物価高。「このまま貯蓄が減り続け、生活が破綻してしまったら――」そんな不安が押し寄せてくるといいます。
定年後は、悠々自適な生活を送れるというのは、もはや過去の話です。高齢女性でもひとり生きていくことが容易になりつつあるなか、当たり前のようにイメージする「夫婦の老後」は確実なものではなくなっている――決して考えすぎなことではありません。
人生100年時代といわれる今、本当に思い描いている老後が夫婦共通のものなのか、しっかりと確認しておいたほうが身のためです。
[参考資料]
法務省『財産分与』
厚生労働省の「人口動態統計(2023年)」
法務省『財産分与を中心とした離婚に関する実態調査』(令和3年4月)