「サインアップボーナス」という言葉をご存知でしょうか? 入社前のいわゆる「お祝い金」「準備金」です。最近、人材獲得のために実施する企業が増えはじめたことから、以前より聞く機会も増えている言葉かもしれません。しかし、これを実施することで、後々トラブルに発展してしまうケースも少なくないようです。今回は、サーチ・ビジネス(ヘッドハンティング)のパイオニアである東京エグゼクティブ・サーチ(TESCO)代表取締役社長の福留拓人氏が、具体的な事例紹介を通して、サインアップボーナス実施時の注意点について詳しく解説します。
“人材争奪戦”の切り札? 入社前に数百万円のお祝い金…「サインアップボーナス」の実態と落とし穴【人材のプロが助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

クリーンな運用を

サインアップボーナスは最近増えてきましたが、運用には会社組織としてある程度のルール、ノウハウ、約束事などが必要になってきます。

 

もしも他の社員にこのことが広まった場合、モチベーションの低下を招いてしまうのではないかと人事部門の担当者が危惧するのも無理はありません。だから秘密裡に処理したいというケースが多いのですが、一歩間違えると想定外のところから事実が明るみに出ることもあります。そのため慎重に運用しなければなりません。

 

前述の通り、サインアップボーナスを支給されたら本人は確定申告をしなければなりません。副業を禁じている会社は、住民税の特別徴収をしているはずです。そこで一人だけ扱いが違うということになると目立ちます。人事部はごまかせても、経理部はごまかせないでしょう。

 

ですから、会社から正当な一時金を賞与として支払うなど、クリーンな運用を推奨しています。サインアップボーナスをどうするかという話題が出たときには、ぜひ本稿の内容を参考にしていただければ幸いです。

 

 

福留 拓人
東京エグゼクティブ・サーチ株式会社
代表取締役社長