年収1,000万円。多くのサラリーマンが夢みて、目標とする給与額。しかし、実際に年収1,000万円超えを実現したサラリーマンからは落胆の声ばかりが聞こえてきます。高給取りの仲間入りをした人のリアルな声に耳を傾けてみましょう。
えっ、何かの間違いでは?〈月収47万円〉大企業メーカー勤務のサラリーマン夫(44歳)、待ち望んだ課長昇進に妻(42歳)喜びの舞…一転、昇進後の初給料日の手取り額に撃沈 (※写真はイメージです/PIXTA)

年収1,000万円超…衝撃の「給与明細」の内訳

ここで簡易的な計算ではあるものの、月収47万円と月収61万円、手取り額を比較してみましょう。額面で14万円の差がありますが、手取り額では8万円ほどの差。実際に昇給分、税金や保険料が反映されるタイミングは異なるものの、額面と手取りの差に愕然とすることはサラリーマンあるある。「昇進してもこんなもん」「こんなに少ないなんて……何かの間違いでは?」などと思うのも仕方がないかもしれません。

 

■月収47万円の場合の手取り額

手取り額…35万4,876円

(内訳)

所得税…1万8,376円

住民税…2万3,875円

健康保険…2万3,288円

厚生年金…4万3,005円

介護保険…3,760円

雇用保険…2,820円

 

■月収60万円の場合の手取り額

手取り額…43万4,150円

(内訳)

所得税…4万3,886円

住民税…3万5,893円

健康保険…3万0,721円

厚生年金…5万6,730円

介護保険…4,960円

雇用保険…3,660円

 

昇進、昇給の期待が大きかっただけに、「妻を落胆させてしまったかもしれません」と英資さん。

年収1,000万円超の落とし穴

――給料があがったといっても、そこまで実感できるもんじゃないぞ

 

先輩から事前にいわれていたという英資さん。覚悟していたので、実際の手取り額を知っても妻のように「何かの間違いでは?」という風にはなりませんでした。それでも年収1,000万円超クラスでも、必ずしも経済的に楽になるわけではないことを痛感したといいます。

 

――年収1,000万円は、サラリーマンのひとつの目標で語られることが多いけれど、実際はそんなに単純な話ではないんですね

 

税金や社会保険料の負担が増えることで、手取り額は思ったほど増えない現実。また、昇進に伴い、責任や仕事量が増えることで、精神的な負担も大きくなります。

 

――課長になったことで、責任は重くなったし、仕事も増えた。でも給与は思ったほど増えていない。家族のため、という大義名分がないと、とても耐えられそうもありません

 

どことなく虚しさを感じる英資さん。昇進は決してゴールではなく、一度落胆を経験し、そのうえで新たなスタートを切るタイミング。サラリーマンの何とも厳しい現実です。

 

[参考資料]

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』