高齢化が進み、多死社会とも呼ばれる昨今。亡くなった親の資産の承継は重要な課題となっています。特に、生前贈与は相続税対策としても有効な手段ですが、税金の問題は複雑です。実施前に確認しておかなければ損をするケースも少なくありません。本記事ではAさん夫婦の事例とともに、生前贈与の基礎知識から、高額な贈与税を回避するための制度、そして祖父母から孫への相続における注意点について、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
絶縁中。嫁は憎いが、大学2年生の孫から懇願され…逆さ仏で愛する次男に先立たれた70代夫婦が「2,000万円」を生前贈与後、号泣したワケ【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

祖父から孫への相続の注意点

相続時精算課税制度の利用で、生前の贈与分は相続税として課税精算されますが、祖父から孫への相続では、孫についてはその相続税額の2割が加算されることになります。理由としては、孫が財産を相続すると、次世代である子の相続税を1回免れることになるからです。相続税がかかりそうなご家庭はご注意ください。

 

ですが、Aさんの孫については2割加算はありません。なぜなら「代襲相続」となるからです。「代襲相続」とは、孫の親がすでに亡くなっている場合、その祖父母の一方が亡くなり相続が発生した際、孫が法定相続人になることです。

 

この場合、代襲相続人となる孫は亡くなった子供と同じ相続権を持ちますから、相続税の2割加算の対象になることはありません。

亡き次男に生き写しの姿

2,000万円を送金後、しばらくして孫がお礼のために自宅を訪問してきました。

 

孫は「本当にありがとうございました。おかげで母の医療費の支払いに困ることもなくなりましたし、自分も大学で勉強を続けることができます」と嬉しそうに話しました。

 

孫に会うのは10年ぶりのAさん夫婦ですが、成長した孫の様子は、出ていったころの次男に生き写しでした。話すしぐさや笑顔などで当時の次男の姿が思い出され、Aさんは会えてよかったと胸が熱くなります。Aさんの妻は感極まって号泣してしまいました。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表