定年を前に離婚を突きつけらえ…30年超の結婚生活が終焉
結婚20年以上の夫婦の離婚は熟年離婚と呼ばれていますが、離婚に占める割合は年々増加傾向。厚生労働省『人口動態』によると、1990年に15%未満だった熟年離婚は、2024年には予想値36%。離婚する夫婦の3組に1組は熟年離婚という水準です。
2歳年下の妻から離婚話を突きつけられたのは、ある日の夕食のこと。藤原さんは定年後の生活について話題に出しました。「定年後も頼む」と伝えていると、「それは無理。離婚してください」と切り出されたといいます。
妻を養い、家族を守ってきた良き夫と自覚していた藤原さんにとって、妻のいっていることがまったく理解できず「そんなバカな話があるか」と、わかりやすく狼狽。やっとのことで「お前1人で何ができるんだ!」と言い放ち、話は打ち切り。その日はさっさと寝てしまったといいます。しかし、次の日の朝、ダイニングテーブルには離婚届と弁護士事務所の名刺、そして「今後については、弁護士を通してください」というメッセージ。妻の姿は家にはありません。
慌てて妻の携帯電話に連絡したものの、すでに解約されて連絡は付かず。娘たちに連絡すると「お父さんとお母さんのことで、私には関係ないこと」と突き返される始末。ここで離婚に向けて、用意周到に準備されていたことを知ったといいます。
離婚に向けての協議のなかで、藤原さんのモラハラが離婚原因であることがわかりました。専業主婦だった妻。振り返ると、確かにきつくあたることはありました。
――専業主婦なんて誰でもできるだろ
――こんな家に住めるのは誰のおかげだ
――自分で稼いでから文句をいえよ
――掃除が甘いんだよ、これで家事してるつもり
――子育てくらい当たり前のことだろ
――ただの主婦が偉そうにするな
こんなことをいっただろうか……正直、思い当たらないことばかりでしたが、15年以上も書き留めていたという日記には、藤原さんがいった数々のモラハラ発言が綴られていました。妻は20年近くも前に離婚を決意。そして20年もの間、ただ離婚に向けて進めてきたことが明らかになり、ただ唖然とするしかなかったといいます。
――よき夫、よき父だと思っていましたが……30年以上一緒にいても気づかないものなんですね
それまで当たり前のようにいた家族がいなくなり、広い邸宅にひとり残された藤原さん。コンビニで買ってきたお弁当をひとり寂しく食べるたびに、30年の結婚生活が無意味だったことを痛感。そして孤独に襲われ、「こんなはずじゃなかったのに……」と悔やむ気持ちでいっぱいになるといいます。
【熟年離婚した男女に聞いた「熟年離婚して感じたデメリット」は?】
・デメリットはない…男性:27.2%、女性:43.2%
・家事が大変になった…男性:30.0%、女性:4.1%
・孤独を感じるようになった…男性:27.7%、女性:5.0%
・金銭面で不安が出てきた…男性:3.1%、女性:24.4%
・現在の家に住めなくなった…男性:5.6%、女性:10.3%
・働く必要が出た…男性:1.6%、女性:9.3%
※出所:ツナグ離婚弁護士(株式会社Clamppy)
【参考資料】