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20年前の給与水準と比較…ひと際不幸な氷河期世代
厚生労働省『賃金構造基本統計調査』によると、2023年、大卒サラリーマンの平均給与は月収で39.9万円、年収で655.3万円。一方、20年前の2003年、大卒サラリーマンの平均給与は月収で39.9万円、年収で658.8万円。ほぼ横ばいです。
しかし年齢別にみていくと、違う光景がみえてきます。20代では2023年の平均給与が月収で2万円、年収で30万円ほど上回っていますが、30代以降は2003年の給与水準のほうが高く、40代では年収で50万~60万円もの差が生じています。調査方法が異なるため、単純に比較できない部分もあります。しかし、とりわけ氷河期世代とされる40代は「社会人になってから一度もよいことがなかった」という世代であることが、20年前との給与比較からも読み取ることができます。
【年齢別大卒サラリーマン「2023年」と「2003年」の平均給与差】
20~24歳:21,800円/311,400円
25~29歳:25,300円/359,400円
30~34歳:▲100円/▲111,900円
35~39歳:▲29,400円/▲507,900円
45~49歳:▲46,900円/▲613,700円
50~54歳:▲41,200円/▲453,400円
55~59歳:▲27,600円/▲182,800円
※数値左より、平均月収「2023年-2003年」/平均年収「2023年-2003年」
このような状況であるにも拘らず、「どうやら氷河期世代はヤバいらしい」と支援がいわれるようになったのは最近のこと。日本政府は、氷河期世代への支援を強化するために「就職氷河期世代支援プログラム」を設け、2020年度〜2022年度までの3年間を「第一ステージ」、その後2023年度からの2年間を「第二ステージ」と位置づけました。このプログラムでは、特に支援が必要な約100万人に対して、職業相談や実践的なトレーニングを提供し、30万人を正規雇用に導くことを目指しています。しかしその効果は十分ではないと指摘され、当事者の多くから「もはや手遅れ」と諦めの声が出ているのが現状です。
しかも年齢的に氷河期世代の多くは、今後「親の介護問題」に悩まされることになります。肉体的、精神的に疲労したあとに訪れるのは自身の老後問題。十分な備えができず、困窮することが確実視されている人が氷河期代には多いといわれています。
このような状況下、賃上げの要請に応えるように初任給30万円超えのニュースが続々と届いています。一方で、初任給が引き上げられることで、氷河期世代ど真ん中の40代の給与水準がさらに悲惨に映ることに。「結局、氷河期世代は蚊帳の外で、私たちはいつも後回し。もう我慢の限界です」と非正規社員の松本さんがいうように、氷河期世代の落胆は大きな怒りに変わっています。
またもや取り残されることとなった氷河期世代。社会に対する不満が、一層増しています。
[参考資料]