賃上げ圧力により、続々と初任給アップのニュースが聞こえてきます。あくまでも大企業が中心ですが、30万円超えなんて当たり前。「もう俺らの給与を超えちゃっているよ」と苦笑するしかない中堅サラリーマンも。そのなかでも、ひと際、怒りを露にしているのがロストジェネレーションとも称される氷河期世代の人たちです。
「手取り月19万円」の46歳非正規男性、大卒初任給「30万円超」に恨み節。さらに拡大する〈給与の世代間格差〉に「ふざけるな!」 (※写真はイメージです/PIXTA)

生まれる時代が悪かった…氷河期世代の嘆き

松本誠司さん(仮名・46歳)。情報通信業界で長年、非正規社員として働いています。

 

――業界の末端だから仕事はキツイです。深夜まで仕事になることもしばしば

 

そんな松本さん、昨今よく耳にする「大手企業で初任給30万円時代がやってくる」というニュースに、なんんともやるせない気持ちでいっぱいになるといいます。

 

――我々のときは20万円を超えるか超えないかでしたからね。そもそも就職できたら御の字、という時代でしたし

 

松本さんはいわゆる就職氷河期世代。大学を卒業しても正社員での就職が叶わず、多くの非正規社員として社会に出た人が多くいました。また希望業種、希望職種での就職は叶わず、仕方なく、望まない就職をした人も。しかし環境に馴染むことができず、心身ともに不調に陥るというパターンも、氷河期世代のあるあるです。

 

松本さんも、希望した業界、希望した職種での内定を得ることはできず。非正規社員として、社会人としてのキャリアをスタートさせます。それから20年強。ときにアルバイト、ときに派遣社員、ときに契約社員……希望業界ながらも会社を転々として、今なお非正規社員でいます。現在、給与は月収で25万円。年収はほぼその12倍だといいます。

 

――手取りにすると月19.6万円。20万円を切るなんて恥ずかしい。いまだに初任給以下。さらに、今どきの新卒は初任給が30万円以上になるというんでしょ。羨ましいとしかいいようがありませんよ

 

自身の境遇を「生まれる時代が悪かった」と嘆くしかないという松本さん。そのような姿勢を批判されることも。

 

――同年代のなかにも、当然、成功した人もいるし、正社員にしがみついて頑張ってきた人たちもいる。そのような人たちから非難されることもあるけど……やっぱり、時代や人のせいでもしないと、やっていられないです