老後の生活資金となる定年退職金。「大切に貯金しておく」というのが定番でしたが、昨今は長寿化を背景に「少しでも増やそう!」と資産運用に回すケースも珍しくないといいます。しかし定年後に投資デューという人のなかには、想定外の失敗で撃沈するケースも珍しくありません。
もう人生、終わりました…〈年金月20万円〉65歳の定年教員、婚活イベントをきっかけに資産運用に目覚めるも、わずか4ヵ月で〈退職金2,200万円〉が半減「何かの間違いでは?」 (※写真はイメージです/PIXTA)

真面目に生きてきた65歳元教員「生涯をともにできる人がいれば…」

田中洋一さん(仮名・65歳)。長く教員を続け、60歳の定年後は再任用教員として働いてきました。担当教科の授業のほか、さまざまな校務をこなし、定年後とさほど仕事は変わらなかったといいますが、給与はほぼ半減の月25万円ほどに。さらに管理職含め全員が年下という環境下、面倒な存在と思われぬよう、細心の注意を払ってきたといいます。

 

――いまどき、すぐに「老害」といわれるので、細心の注意を払っていました。定年後は1年ごとに勤務校も変わるので、精神的につらかったですね

 

それでも、65歳までは働きたいと思っていたという田中さん。

 

――年金を早めにもらうこともできましたが、それは避けたかった。無収入になる期間を埋めるためにも、何とか65歳までは働きたいと考えていました

 

そして、ついに65歳。年金の受け取りを開始し、教員の世界からも引退しました。年金は月20万円強。ひとり暮らしには十分と考えていました。

 

これまでも教員という肩書に縛られてきたという田中さん。「教員たるもの、人の見本になる生き方をしなければならない」と考え、私生活含めて、決して羽目を外すようなことは一度もなかったといいます。ただ真面目過ぎたという反省があります。教員から引退したら始めたいと思っていたことがひとつ。婚活です。

 

――結婚相手はもちろん、交友関係を広げたいと思っていました。教員仲間はあくまでも仕事上の関係で、プライベートで付き合っていくような人たちではないなと考えていて。年齢も近い、気軽に話せる友人がいればなと思いますし、さらに生涯をともにできる人もいれば……

 

タメニー株式会社が50~79歳の未婚男女を対象に行った調査によると、独身ミドル・シニア世代に恋愛・結婚に対する考えとして、「恋人が欲しい」は10.7%、「結婚(入籍)相手が欲しい」は7.1%、「事実婚・同棲相手が欲しい」は3.7%。2割は恋愛・結婚に前のめりです。その理由を尋ねると、男性の1位は「安心・信頼できるパートナーがほしいから」で66.9%。「人生をより充実させたいから」「1人では寂しいから」52.7%、と続きます。

 

また結婚相手を探すための行動として最も多かったのが「マッチングアプリ」で43.0%。「SNS]22.5%、「婚活パーティ・街コン」が20.4%、「趣味の集まり」19.0%と続きました。いまやミドル・シニア層でも「マッチングアプリ」での出会いは当たり前のようです。