(※写真はイメージです/PIXTA)
調査によって「横領」が発覚するさまざまなケース
次に横領調査というものがあります。これは入社前の選定とは違い、在籍社員のお金の問題に対する調査です。ここでも私どもはノウハウを有しています。この問題はエピソード的にご紹介しましょう。横領している人はこういう面からわかるというお話です。
デパートなどで購入した商品の領収証の但し書きを、店員に頼んで都合のよい商品や日付に替えてもらうことがあります。これは会社の経費であるかのように領収証を偽って、着服しようとする行為です。
しかし、その気になればレシートナンバーからどこの売場か特定できるので、但し書きを替えても、どの売場でいつ何を購入したかわかってしまいます。特に現在はインボイス制度が運用されているので、さらに横領が難しくなりました。領収証を利用したごまかしは通用しなくなっています。
次に飛行機の搭乗証明書のケースです。これは主に海外出張の際に大手企業で散見される方法です。まず航空券を高額で買い、その領収証を取得します。そして、すぐに解約して払い戻してもらいます。払い戻し手数料は掛かりますが、大半は払い戻され、領収証は手元に残ります。ではどうやって出張に行くかというと、自分のセレクトで別の予約をしているのです。目的地には行っているけれども、航空券の差額を着服しているわけです。
これを見破る方法もあります。航空券の領収証とは別に、航空会社に請求すると搭乗証明書をもらうことができます。これを合算して照らし合わせることで、横領調査をすることができます。
また昔からある白紙領収書を使う方法もあります。文房具店で売っている白紙の領収書に印章店で偽造した「実際には存在しない会社」の印鑑を押し、あとから金額を記載して、それを経理に請求して費用として受け取ります。
領収証というのは払った側と受け取った側がイコールになっているはずなので、金銭の支出のないものに対して発行すれば、どこかでつじつまが合わなくなります。横領調査ではそこを突きます。
不正を業務上の実績でカバーすることはできない
このような横領調査は、残念ながら職場でレピュテーションが悪化している、何らかの疑いを持たれている人に、リプレースということで依頼が来たときに、その裏付けの一部として私どもに調査を依頼されることがあります。
横領調査では実にいろいろな事例がありますが、ここではごく一部をご紹介させていただきました。通常の自分の職務範囲で実績を出しながら、こういう行為で失脚しないように注意したいものです。
これらの不正については業務上の実績でカバーできると思わないほうがよろしいと存じます。金融調査も横領調査もマイナス評価を受けるだけのものなので、プラス・マイナスで見ることはありません。結局は不正や横領が露見して自分が奈落に落ちるだけなのです。そのような状況に足を踏み入れないように心掛けるようにしましょう。
最後に、この記事に掲載している調査を当社(東京エグゼクティブ・サーチ)が推奨するわけではありません。このような調査が現実に存在し、それなりにノウハウを獲得していることは事実ですが、就職差別につながりかねないので調査を濫用することはありません。
福留 拓人
東京エグゼクティブ・サーチ株式会社
代表取締役社長