帰省をした際に、実家にいるのはどれほどでしょうか。1日、2日……長くいるのもお互い疲れるからと、意外と長居はしないもの。それが3週間ほどになったら、誰もが異変を感じるはず。
遅めの夏休みと一向に帰らない〈33歳ひとり息子〉だったが…年金2人で月28万円〈70代の両親〉が知る「驚愕の事実」。きっかけは日本年金機構から届いた「赤色の封筒」 (※写真はイメージです/PIXTA)

3年ぶりに帰省の愚息が財産を差し押さえられるまで

長男・翔太さんの告白。実は会社はとっくに辞めてフリーターをしているといいます。

 

――組織で働くのが、どうも合わなくて

 

これが退職理由。フリーターとはいえ、複数のバイトを掛け持ちし、月収40万~50万円ほどになるとか。基本的に朝から晩まで働ていることも珍しくないので、家にいるときは「ほぼ寝ている」といいます。

 

そのような生活を送っていたので、公共料金などの支払いを忘れることもしばしば。「気づいたら電気がつかなかったり、ガスが止まっていたり。寝るだけなんで、そんなに困らない」と翔太さん。ただ滞納していたのは国民年金保険料も。するとある日、赤色の封筒に入った「特別催告状」を発見。それでも面倒で未納を続けていたら、「最終催促状」が届き、その期限を超えてから数日ほど経過したあと、自宅アパートにスーツ姿の2名が年金の徴収にやってきたといいます。「これから出かけるので」と追い出したら、ある日、口座が凍結。残高がほぼゼロに。

 

日本年金機構によると、2023年、赤色の封筒に入った最終催告状は17万6,779件に送付。「督促状」は10万2,238件。最終的に3万0,789件の財産差押えが行われました。

 

差押え対象は、まず給与。手取りが月額44万円以下の場合は手取り額の4分の1、超えると手取り額から33万円差し引いた金額が差押え。さらに銀行に債権差押命令が送達された時点の預貯金残高も差押え。法律で差し押さえを禁止された生活必需品以外の動産も対象。あの手この手で未納分を回収していきます。

 

とりあえず心機一転するために、自主的に「長期の夏休みをとることにした」というのが事の顛末だったのです。

 

――しばらくここにいさせて

 

と長男。長い不妊治療の末、40にしてやっと授かったひとり息子。ちょっと、いやだいぶ甘やかしてえ育ててしまったと吉田さん夫婦。いまは夫婦の年金月28万円で暮らしています。持ち家なので息子ひとり増えたくらいでそれほどの負担ではありませんが、二人とも70代も後半に差し掛かっています。

 

――このままでは心穏やかに死ぬこともできない

 

せめて定職に就いて自立してほしい……望むのはそれだけだといいます。

 

[参考資料]

株式会社フォーイット/TAKIBI『年末年始の過ごし方に関するアンケート』

株式会社AlbaLink『帰省の頻度に関する意識調査』

日本年金機構『国民年金保険料を納付していない期間がある方にお知らせをお送りします』