いつかは誰もが直面するだろう親の死。それに伴い、必ず相続が発生します。相続ではお金はもちろん、いろいろな感情が絡み合い、トラブルに発展しがち。しかもその思いは何十年も引きづることも珍しくないようです。
ふざけるな、55年間実家暮らしのくせに!父の相続で「遺産ゼロ」に泣いた52歳次男、甘ったれの55歳長男に「亡母の貯金総取り」を主張 (※写真はイメージです/PIXTA)

父死去…学生の弟は「遺産ゼロ」の不公平感

「あなたは長男なんだから……」

「あなたは女の子なんだから…」

「あなたは末っ子だし……」

 

そんな古くからいわれている「あなたはOOなんだから」という刷り込み。「そんないまどき、そんなこという人いる?」と思うかもしれませんが、このような意識は根強いのが特徴。

 

たとえば、「男性は結婚して家庭をもって⼀⼈前だ」」。結婚しないと出世に響くといわれていた昭和時代。令和のいま、そんなこといったら笑われると思うかもしれませんが、男性の30.4%、女性の17.9%が「その通り」だといいます。

 

「⼥性は結婚によって、経済的に安定を得る⽅が良い」。女性の社会進出が進み、経済的に自立していることが当たり前の時代でも、男性の28.6%、女性の27.2%が「その通り」と回答しています。

 

そんな思い込みは、やはり年齢が高い人ほど、また都会よりは地方のほうが根強い傾向にありますが、若い人のなかにこのように思う人は皆無かといえば、そういうことでもなく、刷り込みによる根深さが伺えます。

 

中田和樹さん(仮名・52歳)も、長年「こうあるべき」に直面してきたといいます。

 

――よく引き合いに出されたのは3歳上の兄(達也さん・仮名・55歳)。兄は長男だから、私は弟なんだから、といわれて育てきました。家督制度の意識が色濃く残る田舎なんで

 

そのことを強く感じたのは、30年前。父が亡くなったときのこと。遺言書には

 

母…貯金2,000万円+自宅

長男…貯金1,000万円

次男…遺産ゼロ

 

という内容が記されていました。

 

――このとき兄は社会人、弟の私は未成年で学生。多少、考慮すべきことがあったのは理解できますが、不平等な遺産分割に対してはなんの言葉はありませんでした。兄には母の面倒をみるようにと、1,000万円の貯金を遺したんだと思いますが……