不動産投資で事業的規模になったらどうなる?
不動産投資が事業的規模になった場合、開業届提出の義務が生じ、必然的に個人事業主になる必要があります。また、それによって生じるメリットもいくつかあります。
・開業届の提出(個人事業主になること)が必要
・家族へ支払う給与を経費にできる
・回収不能となった賃料を経費にできる
・建物の取壊しや除去した場合の資産損失を全額経費にできる
開業届の提出(個人事業主になること)が必要
事業的規模になった場合は、開業の日から1ヵ月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出(個人事業主になること)が必要です。開業届だけでなく該当する場合には以下の書類も準備・提出する必要があります。
・所得税の青色申告承認申請書
・青色事業専従者給与に関する届出書
・所得税の減価償却資産の償却方法の届出書
これらの届出書や申請書の提出先は納税地を所轄する税務署長となりますので、忘れずに申請を済ませましょう。
出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp)
家族へ支払う給与を経費にできる
事業的規模を満たし家族が不動産投資事業に関わっている場合には、家族(一定の要件を満たす必要あり)へ支払う給与を必要経費として経費計上できます。
青色申告の場合は所轄税務署長に提出した「青色事業専従者給与の届出書」に記載した金額が上限となり、白色申告の場合では上限金額は配偶者ならば86万円、配偶者以外の親族ならば1人につき50万円となります。
出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp)
回収不能となった賃料を経費にできる
事業的規模を満たしている場合には、家賃等の回収不能となった貸倒損失をその年の経費として計上できます。
一方で、事業的規模でない場合はその年の経費にすることができず、過去の計上をさかのぼって「更正の請求」を行う必要があります。「更正の請求」とは通常の確定申告とは別で申請を行うことで、法定申告期限から過去5年以内の払いすぎた税金の還付を受けられる場合があるものになります。そのため、事業的規模を満たしている場合にはその年の経費として申請できますが、事業的規模でない場合には更正の請求の手間が発生します。
建物の取壊しや除去した場合の資産損失を全額経費にできる
事業的規模を満たしている場合には、その資産損失を全額経費とすることが可能です。事業的規模を満たしていない場合には資産損失の全額を経費にできず、その年の資産損失を差し引く前の不動産所得の金額が限度となります。