不動産投資における返済比率とは?
返済比率とは、不動産から得られる家賃収入に対するローン返済額の割合を示すもので、投資のリスクを管理するために不可欠な要素です。返済比率が低いほど投資の安全性が高まり、突発的な支出や空室リスクに対応しやすくなります。
返済比率が低い場合、次のようなメリットがあります。
・キャッシュフローに余裕が生まれる
・空室リスクへの対応力が高まる
・投資判断の自由度が増す
一方、返済比率が高い場合、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
・家賃収入から得られる手残りが少なくなる
・空室や修繕などの予期せぬ支出に対応できない
・賃貸経営が破綻するリスクが高まる
このように不動産投資における返済比率は、不動産投資の安全性を評価する際に使用され、金融機関が融資を検討する際の判断材料にもなります。ただし、返済比率は時間とともに変化する可能性があるため注意が必要です。
例えば、ローン繰上返済を行うことで毎月のローン返済額が少なくなる場合や、家賃の見直しで家賃収入が増加する場合には返済比率は改善されます。逆に、金利の上昇や家賃の下落があれば、返済比率は悪化します。
返済比率はあくまでも一時点における数値を示すに過ぎず、返済比率のみで投資の是非を判断するべきではありません。物件の立地、将来性、市場動向など、他の要因も総合的に考慮しながら、慎重に投資判断を行いましょう。
返済比率の計算方法
返済比率は次の式で計算されます。
返済比率=(不動産投資ローン年間返済額 ÷ 満室時年間家賃収入額)× 100
この計算式を用いることで、年間のローン返済額が不動産投資から得られる家賃収入に対してどれだけの割合を占めているかを明確に把握できます。例えば、満室時の年間家賃収入が100万円で、年間のローン返済額が50万円の場合、返済比率は50%となります。
DSCRとは?返済比率との違い
DSCR(Debt Service Coverage Ratio)は、返済余裕率とも呼ばれ、返済比率と似ていますが、厳密には異なる指標です。具体的には、返済比率が単純に家賃収入に対する返済額の割合を示すのに対し、DSCRは経費を考慮した純収益を基に返済能力を評価する点が異なります。
計算式は以下の通りで、返済比率では数値が低ければ返済能力があると判断されますが、DSCRは数値が高ければ支払い能力があり、安全性が高いと判断されます。
DSCR=年間の純収益(NOI)÷ 年間の借入金返済額(元本+利息)
DSCRについて詳しく知りたい方は下記の記事もご覧ください。
【関連記事】DSCRの計算式や目安は?不動産投資の「返済余裕率」を知っておこう!
不動産投資における返済比率の目安は50%!
不動産投資の返済比率は一般的に50%以下が望ましいとされています。この水準であれば、家賃収入の半分をローン返済に充てても、残りの半分で経費や予期せぬ支出に対応できるといわれています。返済比率が60、70%を超える場合では、空室の発生や自然災害における修繕などのイレギュラーな支出に対応できない可能性が高まります。