健康な身体が老後2,000万円問題の解決につながる
「収入を上げていきましょう」というのは簡単ですが、人間には能力差がありますし、運不運というのもあって、売上高にたる収入を思うように伸ばせない場合もあるでしょう。
そういう時に大切になってくるのはコスト削減技術と、収入を減らさず維持し続ける力です。コスト削減技術はいわゆる節約ということで、私が説明しなくても、世の中に沢山のマニュアルや知恵が出回っています。
収入をキープし続けるのに一番大切なことは健康です。だから50歳を過ぎたあたりから、同年代が集まると一番盛り上がるのは健康の話題です。少しでも長く元気に働き続ければ、収入がなかなか減らない状況を作れます。すると投資した分をすぐに取り崩さなくても生活ができ、投資できる期間を長くしていくことができるのです。
たとえばお子さんの教育資金や住宅購入などがあって、50歳くらいまであまり貯金も投資もできなかったという場合もあるでしょう。でも50歳から投資を始めたとしても、70歳までじりじりと働き続けられたら20年間運用ができるんです。
子どもの教育にお金がかかる時期を過ぎ、投資に回せるお金が月6万円くらいできるとしましょう。年利4%くらいの運用成果が期待できる金融商品で、毎月積み立てると、20年後には2,183.1万円になります。老後2,000万円問題の資金もこれで貯まりますよね。
そもそもこの老後2,000万円問題も、試算の前提条件として、夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合です。また年金額も、夫は平均的な給与収入で40年間厚生年金に加入し、妻は40年間専業主婦だった場合の金額となっています。
夫が95歳、妻が90歳になるまでの30年間は夫婦ともに健康の場合、生活費から年金の金額を引くと毎月約5万5,000円が赤字になる。だから5万5,000円×12カ月×30年で1,980万円。約2,000万円必要になるということなんです。
でも70歳まで働けば、貯蓄の取り崩しも先延ばしになりますよね。また今は当たり前の共働きだったら年金額ももう少し増えます。そして90歳前後の晩年はそんなに遠出もできなくなって、支出が減っていくと考えると、65歳の時と同じペースで切り崩さなくてもやっていけるのではないかと考えます。
最大の懸案事項はインフレです。だから、インフレに対応できるお金の置き方ができる場所を確保して、必要な分を崩しながら使っていけば良いのです。
そういったことを考慮すると、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の過去の平均投資利回りがリーマンショックの下落時を含めても約4%というのが思い出されます。
同様のポートフォリオの投資信託で、手数料の安いものを選べば、インフレにも対応できる老後の良いお金の置き場になるのではないか、と私は考えます。
肉乃小路ニクヨ
経済愛好家
※本記事は肉乃小路ニクヨ氏による著書『いま必要なお金のお作法 幸せを呼ぶ40のマネープラン』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。