給湯室で聞いた「若手社員のリアルな評価」に「エリート部長」意気消沈
そんな同期からも一目置かれた存在の平田さん。自身も「上からも下からも頼られている」と感じていたといいます。部長昇進から2年。給与も月収80万円超に。いずれは役員に……との噂も。
前出の厚生労働省の調査によると、大卒の部長の月収中央値は60.7万円。上位25%が74.9万円、上位10%で93.7万円です。平田さん、世の大卒部長のなかでも、現状上位25%に入る存在になっています。
そんなとき、「完全に鼻をへし折られました」と平田さん。「誰に?」と誰もが思うその相手は、なんと20代の若手社員たちだといいます。
ある日、何となく執務室にある給湯室に立ち寄ろうとした平田さん。そこで聞こえてくるのは、どうやら若手社員たちのヒソヒソ話。
――(平田さんの部である)第3営業部、やばくない
――上の人たち、本当に無理。大きな声を出して騒いでいるだけだもの
――ねぇ、他に部の人たちも引いてるもん。第3営業部に配属されたら死亡だって
――うちの上司って、本当ハズレだよね
平田さんが担当する部は、5つある営業部のなかでも頭ひとつ抜けた業績をたたき出しています。それもこれも部を統括する平田さんのマネジメントのおかげ……というのが会社の評価ではありましたが、どうやら所属している社員はみな、そうは思っていないようです。
アクシス株式会社が日本国内の就業経験がある10代〜60代の男女に対し行った『日本国内の「上司ガチャ」に関する意識調査』によると、「上司ガチャは実際に存在すると感じますか?」の問いに対して、91%が「はい」と回答。そして「実際に上司ガチャでハズレだったことはありますか?」の問いに対して、81%が「はい」と回答し、これまでの上司に対して総合的に「当たりである」といえるのは全体の62%。4割弱が、歴代の上司はハズレだと感じています。
では当たりの上司、ハズレの上司。何が違うのでしょうか。これまでの上司、どの点で当たりだ(優れている)と感じているかというと、最も多いのが「コミュニケーション能力」で23%。「公平さ・公正さ」が20%、「指導力のよさ」18%、「チームのモチベーションを高める能力」15%、「業務の効率化や改善の提案」10%と続きました。
では一方で、「ハズレだ(不満)と感じた点」として最も多かったのが「モチベーションを下げる行動」で24%。「不公平・不公正」15%、「指導力が不足している」14%、「コミュケーションが不十分」13%、「業務に対する理解不足」12%と続きます。また「不満な点はない」は14%でした。
――惨めですよね。20歳くらいも下の子たちにあんな陰口を叩かれて
――成果は出しているが、それでいいのか……悩みます
平田さん、しばらく自問自答する日々が続いているといいます。
[参考資料]