日米それぞれの企業では、社員の評価基準が大きく異なります。評価基準の違いによって、組織のパフォーマンス力にも差が生じるようで……。本記事では、野口雄志氏の著書『最大の成果をあげる心理的安全性マネジメント 信頼関係で創り上げる絶対法則』(ごきげんビジネス出版)より一部抜粋・再編集して、日米企業間の文化の違いについて解説していきます。
「頑張っているから」「いつも残業しているから」…日本企業の〈あいまいな評価基準〉が払う、大きな代償 (※写真はイメージです/PIXTA)

日米における「責任転嫁」の違い

責任の取り方や責任転嫁には、日本とアメリカの文化や社会慣習による違いがあります。それぞれの国の特徴を挙げてみましょう。

 

日本のビジネス文化では、問題があった場合でも、リーダーや上司が全体の責任を負うことが多いです。「責任者出てこい」と必ずいわれます。この場合には、直接指示を出し、手を下した人ではなくても組織全体の信頼を維持するため、個人の責任を転嫁せずに組織全体での対応を重視します。問題が発生した場合、日本ではとにかく謝罪の文化が根強く、失敗を率直に認めることが重要視されることでしょう。その後、改善策を検討し、同じ失敗をくりかえさないよう取り組む姿勢が求められます。

 

では、アメリカにおいてはどうでしょうか。アメリカのビジネス文化では、何か問題や失敗が起きたときは、個人の責任が重視されることが多く、その個人が責任を取ることが一般的です。常に透明性が求められますので、失敗を隠すことなく公に認め、個人や組織が自分たちの行動を検証し、改善する文化があります。アメリカのビジネス環境では、リスクを受け入れて新たなアイデアやプロジェクトに取り組む姿勢が奨励されるため、失敗を経験して学び、次につなげることが重要視されます。失敗したことばかりに目を向けるのではなく、失敗や問題をどのように次につなげていくかを考えているのです。

 

一般的な傾向として、日本では組織全体の連帯感や調和を重視する一方、アメリカでは個人の責任や成長を重視する文化が影響しています。

 

 

野口 雄志

グリットコンサルティング合同会社

代表

 

※本記事は『最大の成果をあげる心理的安全性マネジメント 信頼関係で創り上げる絶対法則』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。