怒りっぽい上司がいる職場は、心理的安全性が低く、社員のモチベーション低下や離職につながる可能性があります。しかし、怒りをコントロールし、冷静に対応できる上司がいる職場は、社員が安心して意見を交換でき、創造性を発揮できる環境が生まれるようです。本記事では、上級心理カウンセラーである野口雄志氏の著書『最大の成果をあげる心理的安全性マネジメント 信頼関係で創り上げる絶対法則』(ごきげんビジネス出版)より一部抜粋・再編集して、怒りをコントロールするための具体的な方法について解説します。
常にビクビク、緊張の毎日…いつも怒っている部長へ。部下「人の管理の前に怒りの管理をしてください」【上級心理カウンセラーが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

怒りを制御できない上司

あなたの身のまわりに「怒りっぽい人」はいますか? または、いつも「怒っている人」はいませんか? 私も43年の会社員生活のなかで、「怒りっぽい人」3人、「いつも怒っている人」2人に仕えた経験があります。いま思い出しても緊張の毎日でした。

 

アンガーマネジメントが必要な上司がいる職場で、心理的安全性を高めることはできるのでしょうか? 公共交通機関のなかやコンビニなど街中でも、よく怒鳴っている人を見るケースもあります。こちらまで気分が悪くなる瞬間です。いまでこそアンガーマネジメントなる言葉が一般的になりましたが、以前私がいた会社でもそのような上司が何人かいました。いまでもよく覚えていますが、なぜこわい顔をしているのか原因がわかりませんでした。アンガーマネジメントが必要な人だったと想像しています。

 

そのような環境では上司と違う意見など出せるはずもなく、職場の人たちはいつも顔色を伺っていました。私は自分に正直に生きていたので、誤魔化せず、よく衝突しています。書類や灰皿を投げつけられたり、ゴミ箱を蹴られたりと、現代では信じられないような行動を目の前でされたこともありました。

 

出典:「平成28年度厚生労働省委託事業職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」(厚労省)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000165752.pdfを加工して著者作成
[図表]職場のパワーハラスメントに関する実態調査 出典:「平成28年度厚生労働省委託事業職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」(厚労省)を加工して著者作成

 

人の管理の前に「自らの怒り」の管理を

多様性の時代で、さまざまな考え方の人がいることは認めますが、人に迷惑をかけるような権力をもって自分の意見を押し通すことは正さなければなりません。さもないと心理的安全性が逆行してしまうのです。

 

心理的安全性を重視し、よい職場づくりを追求する企業は、課長職や部長職になったとき怒ることがないよう、自らを管理する訓練を研修で行い、習慣づけるように導きます。皆さんの参考にもなりますので、怒りやすい人の課題を整理し、訓練するポイントを分けて説明します。