2015年にGoogleが「チームの生産性・パフォーマンスを高める最も重要な要素は、心理的安全性である」と発表して以降、「心理的安全性」は世界的に注目されるようになりました。心理的安全性とは、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことです。職場の心理的安全性を高めるためには、社員一人ひとりのコミュニケーション能力の向上が必須です。本記事では、上級心理カウンセラーである野口雄志氏の著書『最大の成果をあげる心理的安全性マネジメント 信頼関係で創り上げる絶対法則』(ごきげんビジネス出版)より一部抜粋・再編集し、組織におけるコミュニケーション能力の4つのポイントについて解説します。
職場で「この人はコミュ力が高い」と評価される人が気を遣う「言葉以外のこと」 (※写真はイメージです/PIXTA)

コミュニケーションのオープン化

世の中は、ひとりで生きていくことはできません。組織に属し仕事をする場合には、他者とのコミュニケーションが必須です。

 

コミュニケーションのオープン化とは、情報や意見の自由な共有を促進し、意思疎通を円滑にすることと定義します。開かれたコミュニケーションスタイルが信頼性や協力関係の構築に必須となるからです。心理的安全性の高い組織には、開かれたコミュニケーションが必要になります。コミュニケーションですから、一方だけが改善すればうまくいくものではありません。とくにオープン化の環境は「開かれたコミュニケーション」ですから、その場にいるすべての人が対象となり、意識を共有して取り組むことで素晴らしい環境を手に入れることができます。

コミュニケーション能力が高い人が備える4つの能力

心理的安全性が高くてもコミュニケーションがうまくいっていなくては、相手の気持ちの確認に時間がかかってしまい、双方の意識にギャップが生まれてきてしまいます。不信感はそのようなギャップから生じてくるのです。必要以上にコミュニケーションに気をつかうことは後々必ずよい関係性に生きてくるのです。開かれたコニュニケーションを促進するためのポイントは、次の4つになります。

 

1.話すことだけじゃない…「拝聴力」の重要性

さまざまな場面で相手の意見や感情に注意を払い、真剣に聴くことが大切です。決して相手の発言を遮らずに聴くことで、相手との距離感や信頼感は見違えるほど近くなり、相手がさらに話しやすくなります。自分のまわりにいる人は多種多様です。話すスピードも話し方も慣れている人、慣れていない人がいます。

 

「聴く」とは、相手の話していることを集中して自分のなかに取り入れることです。話を聴いているときには、自分の意見やアイデアは一旦脇に置き、話している人の話に集中することです。自分の考えを消し去る必要はなく、必要であれば話を聴いたあとに意見としてテーブルに並べることにします。