日米それぞれの企業では、社員の評価基準が大きく異なります。評価基準の違いによって、組織のパフォーマンス力にも差が生じるようで……。本記事では、野口雄志氏の著書『最大の成果をあげる心理的安全性マネジメント 信頼関係で創り上げる絶対法則』(ごきげんビジネス出版)より一部抜粋・再編集して、日米企業間の文化の違いについて解説していきます。
「頑張っているから」「いつも残業しているから」…日本企業の〈あいまいな評価基準〉が払う、大きな代償 (※写真はイメージです/PIXTA)

日米における「評価基準」の違い

「頑張っているから」とか「いつも残業しているから」という理由で人を評価することはありませんか? もちろん仕事に対して真摯に誠実に働くことは、どの国でも評価されます。しかし、単なる感情的な理由での評価は、属人的な判断や主観が入ってしまうため、公平でなくなるおそれが十分あります。私が経験した企業では、基本的には絶対的評価を用いていました。ただし、その目標となる数値はチームや個人が申告した数値を精査後に目標としますので、わかりやすい絶対的評価となっていたわけです。

 

心理的安全性の高い環境を目指す場合に、構成員の評価についても重要な要素となります。ここではアメリカでの絶対的評価がなぜ効果的なのかを説明しましょう。

 

米企業の絶対的評価が効果的な理由

まずは、目標の設定の明確化がパフォーマンスを向上させるのです。従業員や学生に明確な目標・基準を設定し、それに向けて努力するよう促します。個人が自分の成果や能力を客観的に評価し、目標に向かって取り組むことで、パフォーマンスが向上する可能性があります。

 

個人の働く成果としてのパフォーマンスは、やりがいや充実感をもたらすばかりではなく、組織にとってもよい成果としてあらわれてきますので、高いパフォーマンスを常に目指せる評価制度が必要になるでしょう。高いパフォーマンスをあらわすためには、次の目標設定やフィードバックなどもセットとして対応します。

 

次に、公平性と透明性の効果です。絶対的評価は、報酬や昇進の決定において公平性と透明性を高める効果があります。個人の成果や実績が客観的な尺度に基づいて評価されるため、個別の評価が一貫性をもち、バイアスの影響を受けにくくなります。その点、「よくやっている」などを評価基準とした場合には、誰が決めるかによって尺度が違ってくるため、不公平感があらわわれてくるのです。

 

このように、絶対的評価がもたらす効果は心理的安全性を高めるうえで必須となります。