老後資金3,000万円を一気に溶かした理由とは?
平均値でも勝ち組、そんな一例が加藤健一さん(仮名・65歳)。大学を卒業し、大手メーカーに就職。「平々凡々なサラリーマン人生ですよ」と自己評価する会社員時代、年齢を重ねるごとにそれなりに昇給していき、気づけば定年間近になっていたとか。
20代の頃、結婚を前提にお付き合いしていた人もいたといいますが、タイミングを逃し、一度も結婚をしないまま、これまた気づけば定年間近になっていたとか。
貯蓄は、預貯金とわずかに投資信託と株式があり、それらを合わせて2,500万円ほど。定年退職金は2,200万円ほどだったとか。再雇用での勤務継続の話もありましたが、「これ以上働いても……」という思いがあり、定年と共に仕事を辞めた加藤さん。
――毎日本を読んだり、映画を観たり。淡々とした日々を送っています
――もっとパッーとできたらいいのですが、派手な趣味があるわけでもなく……自然と質素倹約の生活になっています
そんな加藤さん。イメージする勝ち組とはずいぶんと違うセカンドライフを送っていました。しかし、そんな平々凡々な日々が一変する大事件が起きます。
「お金を持っているだけで使わないとバチがあたる」と加藤さんは、ボランティア活動を行うようになったといいます。そのときに知り合ったのが、ある30代女性。知り合ったといってもSNSを通じたもので、一度も直接はあったことがありません。世界の紛争地域でボランティア活動に従事しているという女性。初めはDMでのやりとりに始まり、たまにWEBで顔を合わせて話をする間柄に。そうしているうちに、加藤さんいわく、恋人関係になっていったといいます。
何十年ぶりかの交際に加えて、相手は30歳以上も年が離れている若い外国人女性。正常な判断ができなくなって、テンションが上がりっぱなしだったという加藤さん。正常な判断ができなかったといいます。ある日、母国で暮らす父が倒れ、一時帰国したいのに……と泣きじゃくる女性。お金がなくて帰ることができないのだといいます。すでに両親が他界している加藤さん。それは一大事だといって、数十万円を送金します。
――喜ぶ彼女の顔をみたら、その笑顔は本物だなと……感じてしまったんですよね
その後も何かとお金がないと相談があっては、送金を行う加藤さん。サポートのお礼として、現地(だという)でサポートする人々の笑顔の写真が送られてきます。そのやりとりで、すっかり彼女を信用してしまったという加藤さん。しかし、いつのまにか彼女のために使ったお金は3,000万円近くにも膨れ上がっていたといいます。
ここまでサポートしているなら、もっと見返りを求めたくなるもの。WEBではなく、直接会ってみたい……そんな思いが強くなり、今いる場所の詳細を教えてほしいとお願い。「会いに行くから」と猛アタックすると、それ以来、音信不通に。そのことを友人に話したところ、「それって国際ロマンス詐欺っていうやつでは……」と指摘されたそう。