多くの企業が採用する60歳定年。そのあとも継続して働くことができますが、8~9割が「老後が心配」と仕事を継続。ある意味、60歳で仕事を辞められるのは、お金の心配がない勝ち組だといえるでしょう。一方で、60歳で仕事を辞められるということは、お金がある証拠でもあり、気を付けないととんでもない事件に巻き込まれる可能性も。
退職金2,200万円・貯金2,500万円でも…60歳で仕事を辞めた後も質素倹約の〈おひとり様男性〉が一転、3,000万円失い「老後破産」まで覚悟した「まさかの出来事」 (※写真はイメージです/PIXTA)

平均的な大卒・独身サラリーマン…実は相当の勝ち組という事実

例外はもちろんありますが、サラリーマンであれば、年齢と共に収入があがっていき、定年と共に3割減。そして仕事を辞め、年金生活を始めるタイミングで3割減。これが平均的な収入の推移です。

 

バリバリ仕事をこなしていた頃は「収入は増える」が当たり前だったのが、老後を見据える頃になると、転がり落ちるように減っていく……そのインパクトは非常に大きく、だからこそ、老後を見据えた準備は必須になります。

 

老後の生活を見据えて頼りになるのが、貯金と退職金。そして実際に仕事を辞めたあとは、そこに年金が加わります。

 

まずは貯金についてみていきましょう。

 

金融広報中央委員会『令和5年 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]』によると、単身高齢者の貯蓄額(金融資産保有額)は、60代で平均2,240万円、70代で平均2,104万円。中央値は60代も70代も1,100万円です。貯め込んでいる人とそうでない人の差は激しいので、平均値と中央値で1,000万円近い差があります。

 

そして退職金。厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』によると、大卒の定年退職で、「勤続35年以上」だと平均2,037万円。月収換算で38.9ヵ月分です。「勤続30~34年」で1,891万円、「勤続25~29年」で1,559万円、「勤続20~24年」で1,021万円でした。

 

さらに従業員1,000人以上の大企業に限ると、「勤続35年以上」で平均2,242万円。月収換算で40.8ヵ月。一方、従業員30~99人の中小企業だと、「勤続35年以上」で平均1,785万円。月収換算で33.1ヵ月です。

 

預貯金のなかに定年退職金が含まれているのか、いないのか、判別できませんが、仮にそれぞれ別と考えると、独身を謳歌する大企業サラリーマンの場合、老後を前に平均4,000万円の貯蓄(退職金含む)があるといえます。

 

それに対し、単身高齢者の1ヵ月の平均支出は14万8,028円。単純計算、貯蓄だけで270ヵ月、22年ほどを暮らせるということになります。60歳定年だとして82歳。平均寿命を超えています。

 

大学を卒業して以来、就職した企業ひと筋で勤め上げ、貯金も退職金も平均値という大卒・独身サラリーマン、はっきりいって勝ち組です。