年金激減の残された妻の生活
Aさん(70歳)は、夫を亡くしてから1年が経ちました。夫が亡くなってから、年金が大幅に減額されたことに毎日頭を抱えています。夫の生前、2人で受け取っていた年金は、月に合計14万円ほど。家賃や生活費をなんとか賄えるほどの金額です。しかし、夫の死後、Aさんが受け取る年金はおよそ7万円にまで減額してしまったのです。
Aさんは、「こんなに減るなんて思ってもいなかった」と話します。毎月の家賃や光熱費、そして食費を支払ったあとには、ほとんどお金が残らない状況です。これまで頼りにしていた夫からの年金収入がなくなり、自分1人の年金だけでは生活を続けることが難しいと感じるようになりました。
なぜこのように、年金が激減してしまうのでしょうか?
遺族年金の仕組み
Aさんが体験したように、夫婦の年金額はいずれかが亡くなると変わります。特に自営業であったAさん夫婦の場合、Aさんは夫が生前受け取っていた年金は受け取ることができません。
結果、夫の死後Aさんが受け取る年金は自分の年金である月約7万円のみとなり、生活を維持するのが厳しい状況に追い込まれてしまいました。
Aさんは食費を調整し、光熱費もなるべく節約するなど、できる限りの対策を試みましたが、やがてそれだけでは限界があると気づきます。食費を抑えるようになったため毎日の食事は簡素になり、趣味だったガーデニングを楽しむ余裕もなくなりました。健康も心配でしたが、医療費を抑えたくて病院に行くことも控えるようになります。
一番無念だったことは、夫が生前なによりも好物であった白米を供えることができなかったことです。
「お米は高すぎるので、最近は食べていません。近所のスーパーでは、以前の2倍くらいの値段になっているので、とても手が届かなくて。命日なのに、夫に申し訳ない……」Aさんは涙します。