最期をどこで迎えたいか。「慣れ親しんだ自宅で」という考えの人もいれば、「設備の整った施設で」と考える人もいます。しかし、「親の家」は家族間でトラブルの原因となることも少なくありません。本記事では、Aさん夫婦の事例とともに親の終の棲家について、CFPの伊藤貴徳氏が解説します。※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。
老後の安心がお金で買えるなら…持病がある妻のため、年金月20万円の70代元共働き夫婦「高級老人ホーム」入居を計画も…40代息子夫婦と大揉め。家族崩壊の理由【CFPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

老人ホーム入居を検討した背景

都内に住む70代のAさん夫婦の年金は手取りで月額20万円程度。退職金は2人で3,000万円、これとは別に貯蓄もそれなりにあります。共働きで築き上げた安定した老後を楽しむことができていました。しかし最近、体力の低下や家事の負担が増えたことを実感するようになり、老後の生活について真剣に考え始めました。きっかけは、妻のBさんが膝を痛め、家の階段の上り下りが困難になったことです。近ごろはAさんの支えがなければ、Bさんは2階の部屋へ行くことも部屋から出ることもできません。

 

「このままではお互いの体に負担がかかりすぎる」と夫のAさんは心配し、2人で生活を見直す話し合いをしました。 その結果、自宅での生活を続けるよりも、高齢者向けの施設に入居して、健康管理や家事のサポートを受けながら穏やかに過ごしたいという結論に至りました。

 

高級老人ホームを選択した理由

2人が選んだのは、いわゆる「高級老人ホーム」と呼ばれる施設でした。選択の理由は、主に以下の3点です。

 

1.充実した医療体制
持病があるBさんにとって、医療スタッフが常駐している施設は大きな安心材料でした。
 

2.快適な居住環境
夫婦が見学した施設は、広々とした個室や共用スペースが整備され、まるでホテルのような暮らしが叶う設備が備えられています。豊富なレクリエーション活動や、食にうるさいAさんも唸る美味しい食事も魅力でした。
 

3.安心のサービス
日常生活のサポートだけでなく、緊急時にも迅速に対応してくれる体制が整っていることに惹かれました。

 

 Aさん夫婦は「老後の安心を買う」と考え、2人のためにはこの施設が最適だと判断しました。