ペアローンでマンション購入を決意したパワーカップル
都内に住む30代のAさん夫婦は結婚生活4年目になります。これまで賃貸マンションで暮らしていましたが、妻の妊娠をきっかけにマンションの購入検討を始めました。子供の将来や、今後の家族の生活を考え、持ち家に住むという結論に達したのでした。
夫婦が考えているのは、都内でも比較的静かで、子育てのしやすい環境のあるエリア。都内でも人気の高いエリアで、2人の希望する条件でのマンション相場は8,000万円前後とのこと。
物件探しを始めて数ヵ月後、ようやく見合うマンションを見つけることができました。築浅の中古マンションで、少しのリフォームで問題なく住むことができそうです。
夫のAさんはメーカー勤務、妻は金融業で勤務しており、いわゆるパワーカップルと呼ばれる収入状況ではありましたが、「持ち家はお互いのもの」という考え方からペアローンを選択しようと決めていました。
Aさん夫婦
夫33歳 メーカー 年収800万
妻31歳 金融業 年収600万
物件価格 8,000万円
住宅ローン
変動金利:0.375%
借入期間:35年
早速不動産会社へ申込を入れ、住宅ローンの事前審査を行うことに。
予想外の審査結果
「……ご希望に添えかねる結果となりました」銀行の担当者からの予想もしない言葉に、2人は固まりました。
「そんな……。収入状況は問題ないはずなのに、どうして……?」
理由を聞いてみても、「総合的判断で」の一点張りで、否決理由は教えてくれません。A夫妻はなぜローン審査に通らなかったのでしょうか。
審査に通らない…考えられる3つの原因
住宅ローンは、「年収が高ければ通る」というものではありません。審査には複数の要素が関わり、その結果によって融資が決まるため、しっかりと理解しておくことが大切です。
1.勤続年数が短い、年収が低い
住宅ローン審査で見られる要素の1つに「勤続年数」があります。
収入が安定しているかどうかを判断するため、金融機関は借り手の勤続年数に注目します。一般的に3年以上の勤続があると審査が有利になりますが、それより短い場合は「今後の収入の安定性に懸念がある」と判断されることがあります。
希望借入額に対して年収が見合っていない状態も注意が必要です。年間の収入に対してどれだけの金額をローン返済に充てるかの割合を返済比率といいますが、通常、この返済比率は30%以内に抑えることが推奨されます。収入が多くても、返済比率が高すぎると「返済が難しい」と判断されるため、ローン審査に影響を与えます。
たとえば、年収600万円の場合、返済比率が30%だとすると年間で180万円、月々の返済額は約15万円までが適切な範囲です。もしそれを超える返済計画を立てていると、審査に通りにくくなることがあります。