人気衰えぬタワーマンション。需要が高いにもかかわらず、神戸市の中心部では、あえて新たな建設を規制する条例が可決されました。「廃棄物を作るに等しい」という神戸市長・久本喜造氏の強い言葉が話題を呼んでいます。本記事ではSさんの事例とともに、タワーマンションの未来について、長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
神戸市長「タワマンは将来の廃棄物」…市内JR駅前のタワマンを買う、年収920万円の40歳・気ままなおひとりさまに待ち受ける「絶望的未来」【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

神戸でタワマンを購入する40歳独身の会社員男性

<事例>

Sさん 40歳 

会社員 年収920万円

独身

貯蓄額 5,700万円

 

Sさんはある政令指定都市に住む会社員です。大手メーカーに勤務し年収は920万円と十分なのですが、結婚には興味がありません。一度婚活アプリをやってみましたが、Sさんと同世代の女性は一様に「年収」や「貯蓄額」「勤務先」などお金のことで男性を判断しているように見えてしまい、誰とも出会わず辞めてしまいました。きっとこのまま独身なのだろうと思っています。

 

Sさんは地元の優秀な公立高校を卒業し、実家から通える地元の国立大に進学しました。そして地元に本社のある現在の勤務先に就職したのです。大きな都市に住むとはいえ、地元から出たことがないことがコンプレックスでもあります。

 

最近、Sさんは持ち家を買おうかと考え始めました。現在は、職場から車で25分かかる場所にワンルームマンションを借りています。趣味のシュノーケリングの道具など持ち物が増えすぎて手狭になっているのです。バイクも持っているのですが、保管も雑にならざるをえず盗難の恐れもあります。

 

そこで目についたのはJRの駅前にあるタワーマンションです。3LDKで申し分ない広さのうえに、一階にあるバイク専用の駐車場は綺麗でまるで高級ショールームのようです。外国製の高級バイクも多く停められていて、Sさんには非常に安心感があります。職場までは車で15分ほど。いまよりは少しだけ近くなります。

 

価格は新築で8,000万円超です。Sさんは貯蓄から自己資金として3,000万円を出し、5,900万円の住宅ローンを借りようかと考えています。65歳の定年退職まで25年間で返済するとしたら、毎月の返済額は21万円ほど。現在の賃貸マンションの家賃は月14万円なので7万円の支出増ですが、ボーナス時の支払いを多くすれば月ごとの支出は抑えられるはずです。

 

それにタワーマンションは資産価値が高く、売るときも高いと聞いたため、定年退職と同時に売却すれば老後資金にもなるだろう。沖縄あたりに移住してシュノーケリングに没頭する毎日も悪くないな……そう考えたのです。

 

果たしてそれが正しい選択なのか、なにか抜け落ちている知識はないのか、ファイナンシャルプランナーに相談してみることにしました。