不動産投資を検討するうえで、不動産の収益性を示すキャップレートについてきちんと理解しておく必要があります。そこで本コラムでは、キャップレートとはなにか、表面利回り・実質利回りの違い、不動産投資におけるキャップレートの考え方を解説します。不動産投資を検討中の方はぜひ最後までご覧ください。

キャップレートは高い方がいいわけではない

キャップレートは前述のように物件の収益性を示す指標ですが、キャップレートは高い方がいいわけというではありません。ここではその理由を5つ紹介します。

 

  • 理由①:キャップレートが低くても安定している場合がある
  • 理由②:家賃が高く賃借人が変わると期待収益を得られなくなる場合がある
  • 理由③:不動産自体の価格が安い場合もキャップレートは高くなる
  • 理由④:キャップレートが低くてもキャピタルゲインが期待できる
  • 理由⑤:魅力的な物件はキャップレートが低くなりやすい

 

キャップレートが高い場合はその理由を把握したうえで、その地域のニーズや周辺物件との関係性など総合的に考慮しましょう。

 

理由①:キャップレートが低くても安定している場合がある

キャップレートは不動産価格で収益力を割り返した指標であるため、不動産価格が高い場合や家賃(収入)が低い場合には低い値となります。そのため、単純にキャップレートの高低のみに着目してしまうと、駅近など不動産価格が高くても空室率が低く安定した物件を見逃してしまうことになります。

 

理由②:家賃が高く賃借人が変わると期待収益を得られなくなる場合がある

キャップレートは家賃が高い場合に高くなるため、相場よりも高い家賃設定となっている場合、賃借人が入れ替わり新しい賃借人が相場賃料で入居すると想定していた期待収益を得られないことがあります。また、逆に相場よりも低い家賃設定となっている場合には、賃借人が入れ替わればより高い賃料に設定できる可能性もありますが、安価な家賃設定だと入居者の入れ替わりは発生しづらくなる可能性もあります。家賃設定が適切な水準であるかを事前に確認しましょう。

 

理由③:不動産購入価格が安い場合もキャップレートは高くなる

郊外の物件や築古物件などは不動産価格自体が比較的安いため、キャップレートが高くなる傾向にあります。築古物件では、一般的に使われるNOIキャップレートに含まれない修繕費が他の物件に比べて余計に発生してしまい収益性が低くなります。また、郊外の物件は都心と比較すると空室発生や家賃下落のリスクが高くなります。

 

理由④:キャップレートが低くてもキャピタルゲインが期待できる

不動産投資ではインカムゲインとキャピタルゲインを考えることが重要です。インカムゲインは投資物件から得られる家賃収入等の定期的に得られる収入を指し、キャピタルゲインは投資物件を売却する際に得られる収入を指します。

 

不動産価格が高いほどキャップレートは低くなるので、実際に郊外よりも都心部の人気の高いエリアの物件はキャップレートが低くなる傾向にあります。そのため、キャップレートが低くてもニーズの高い物件であるために高額売却によるキャピタルゲインを期待できることがあります。

 

理由⑤:魅力的な物件はキャップレートが低くなりやすい

築年数が浅い物件や好立地の物件のような魅力的な物件は市場での競争も激しくなるので、物件価格が高くなります。そのため前述のようにキャップレートが低くなることがありますが、空室率が少ない安定的な収益を生み出し、売却時のキャピタルゲインも期待できる場合があります。

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