米がないと騒がれ始めて2週間ほど。「米をゲット」という声も聞こえてくるものの、特に都市部のスーパーでは品切れ状態が続いています。そんななか、今回の米不足で大都会での暮らしに限界を感じる若者の姿も。
やっぱりお米がありません!手取り月19万円・1人暮らしの25歳サラリーマン「ランチは手作りおにぎり2個」で頑張るも、米不足で「東京生活」に限界 (※写真はイメージです/PIXTA)

おにぎりを手作りすれば1個16円!節約男子の実情

アパートなどを借りて1人暮らしする男性の平均値から考えても、斉藤さんに余裕がないのは明らか。東京で1人暮らしを続けていくためには、節約は必須といえそうです。

 

大学を卒業してからのほうが、親からの仕送りがなくなったので、生活は苦しくなったと斉藤さん。社会人になってから、より自炊をするようになって、食費を節約するようになったといいます。

 

――やっぱり最強の食材はお米ですね。お米さえ食べていれば生きていけます

 

近所のスーパーで一番安い、5キロ・1,650円のお米を買うのが定番だったという斉藤さん。

 

――5キロのお米で、コンビニサイズのお握りが100個ほど作れるんです。

――お昼は手作りのおにぎりを2個持っていき、それだけで済ませるこっとも多いですね

――具!? 基本的になしです。シンプルな塩おむすび

 

水道・光熱費を考えず、食材の費用だけで単純計算すると、おびぎり1個16.5円。斉藤さん、ランチ代は毎日33円で頑張っています。

米さえ買えない東京の暮らしに限界

「そもそも給料が安いんですけど」と話す斉藤さん。家計が苦しい理由は主に2点。まずは奨学金の返済。大学卒業あとに始まった奨学金の返済は月2万円。それが30代後半になるまで続くといいます。

 

――月2万円くらい、なんとかなると思っていたんですけど

 

労働者福祉中央協議会が行った『奨学金や教育費負担に関するアンケート調査』によると、返済の負担感については「余裕がある」はわずか9.6%。「何とかなっている」が45.9%で「苦しい」が44.5%。さらに苦しいの中でも「かなり苦しい」は20.8%と、5人に1人の水準です。

 

もうひとつが、斉藤さんが勤める会社で住宅手当が廃止されたこと。

 

――月2万円の住宅手当ですが、なくなってしまって

 

住宅手当がなくなった分、多少は給与に還元されたといいますが、年間24万円をカバーできるほどではないといいます。

 

東京都産業労働局『中小企業の賃金・退職金事情』で住宅手当の支給状況をみていくと、平成29年では41.3%の会社が住宅手当を支給。対し、令和5年では35.2%。住宅手当を支給する企業は緩やかに減少傾向にあります。

 

住宅手当を廃止する企業が増えているのは、ライフスタイルの多様化や働き方改革、さらにはコストカットが理由。手当てを廃止する分、基本給をあげるなどの対応が取られることが多いですが、斉藤さんのように手当て廃止の減少分をカバーできていないケースは多いようです。

 

東北にある実家では、近所で米が手に入るとか。「送ろうか」と親にいわれましたが、「いいよ、運賃を考えたら高くつくし」と断ったとか。それでも今回、「米が手に入らない」という事態に、東京暮らしに限界を感じたという斉藤さん。

 

――このまま東京にこだわる必要がどこにあるのだろう

 

実家に戻ることも視野にいれ始めているといいます。

 

[参考資料]

総務省統計局『小売物価統計調査』

総務省『家計調査家計収支編2023年平均』

労働者福祉中央協議会『奨学金や教育費負担に関するアンケート調査』

東京都産業労働局『中小企業の賃金・退職金事情』