「えっ、健康保険組合からお金がもらえたの?」がんを患って職場復帰した42歳女性、同僚が何気なくつぶやいた言葉に耳を疑ったワケ【CFPが解説】

「えっ、健康保険組合からお金がもらえたの?」がんを患って職場復帰した42歳女性、同僚が何気なくつぶやいた言葉に耳を疑ったワケ【CFPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

大病をして民間保険の給付金を受け取ったものの、会社の総務担当者と話した際に「うちの会社の健康保険組合のお見舞金があって助かったわ〜」という言葉を聞いてびっくりした相談者。相談者は“お見舞金”のことを全然知らず、申請しなければ受け取れないことや、申請期限があること、また受け取っていたら入院時の自己負担額がかなり抑えられたことを知ってとても後悔していました。健康保険組合の保障内容は加入している健康保険組合によって異なります。今回は健康保険組合で独自に用意されている保障の一つである付加給付について、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが解説します。

民間の生命保険は入る必要はない?

ただ、この制度があるなら民間の生命保険は要らないのではないかと思う人もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

確かにここまで手厚く保障してもらえるのなら、民間の生命保険に払う保険料はもったいないと思うかもしれません。

 

ただし、健康保険組合の付加給付制度は国の高額療養費制度に上乗せして行われる制度です。そのため、国の高額療養費制度の内容もしっかりと理解しておく必要があります。

 

高額療養費制度で一番問題になるのが、自己負担額の上限がその月の1日から月末までの1ヶ月間が計算の基礎になることです。そのため、月をまたいで入院した際には、思ったほどの金額が返ってこない可能性があるのです。

 

うえで試算した70万円の医療費が月をまたいだ20万円と50万円の合計だった場合、窓口で支払う金額は21万円で変わりませんが、還付される高額療養費は20万円の月と50万円の月に分けて計算します。

 

そのため、20万円の月の自己負担額の上限は8万100円、50万円の月の自己負担額の上限は8万2,430円ですので合計16万2,530円となり、還付される額は4万7,470円と約8万円も少なくなってしまうのです。

 

入院期間は自分では決められないため、月をまたぐケースも否定できません。

 

そういった意味でも民間の生命保険と健康保険組合の付加給付制度は分けて考えることをおすすめします。

 

まずはご自身の加入している健康保険組合の制度を今一度再確認してみましょう。そして、まだ時効がきておらず申請できる給付制度があれば、早めに申請するようにしてください。

新井智美

トータルマネーコンサルタント
CFP

 

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