学校を卒業して就職した会社に、定年まで勤め上げる……そんな終身雇用がいまや珍しく、1度や2度、転職するのが当たり前の時代。ただ「会社を辞める、本当の理由」はいえたり、いえなかったり、さまざまです。
そろそろ限界だ…「年収1,000万円超」42歳の大手メーカー勤務のサラリーマン、勤続20年の会社を辞める「本当の理由」 (※写真はイメージです/PIXTA)

とてもいえない…退職理由「本音」と「建前」

また同じく株式会社GOLD CAREERの調査によると、正社員として働いていた勤務先を初めて退職したときの「本音の理由」トップは、「肉体的・精神的健康を損ねた」で13.0%。「人間関係が悪かった」10.0%、「労働時間・休日・休暇の条件が不満だった」8.7%、「給与が低かった」6.4%、「上司や経営者の仕事の仕方が気に入らなかった」6.2%と続きます。

 

ただ退職の際に、本音をそのままぶつけるのは、はばかられる……ということも珍しくなく、ついつい「建前」をいってしまうことも。その際に使われる「建前の理由」トップは、「肉体的・精神的健康を損ねた」で16.6%。「キャリアアップしたかった」14.8%、「家庭の事情」12.1%、「結婚や出産などのライフイベントのタイミング」11.4%、「自分がやりたい仕事ではなかった」6.1%と続きます。

 

健康上の理由が本音でも建前でもトップ。退職理由としていいやすいもののようです。一方で、人間関係の悪さはいいにくく、キャリアアップといった前向きな理由や、家庭などの個人的な理由に置き換えて伝えることが多いよう。

 

では加藤さんの本音は、というと、「肉体的・精神的健康を損ねそう」だから。

 

課長に昇進して1年。上と下に板挟みになり、調整役にまわることはしばしば。困ったことがあり上司に相談しても、「管理職なんだから自分で考えろ」と一蹴されることも。深夜までの残業が続き、肉体的にも精神的にもツラい日々が続いているといいます。

 

――自分が課長という器ではなかった、といえばそれまでなのですが

 

厚生労働省『令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)』によると、「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスがある」と回答した人は実に82.7%。年代別では40代がトップで87.9%、その内容としては「仕事量」が最多で49.7%でした。中間管理職になる人も増えていく年代、どうしても仕事量が膨らみ、ストレス等の原因になってしまうようです。

 

加藤さんは、「肉体的にも精神的にもツラいので……」と退職理由を素直に話したところ、「改善するから!」とまさかの引きとめ。気持ちも揺らぎ、本当に転職ができるかどうかも微妙だといいます。

 

[参照]

株式会社GOLD CAREER『転職平均回数について調査レポート』

株式会社GOLD CAREER『転職理由の「本音」・「建前」に関する調査レポート』

厚生労働省『令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)』