長年連れ添ったパートナーを亡くした時、残された家族が生活に困らないようにと支給される遺族年金。それだけで生活ができるほどの金額ではないものの、あれば嬉しいサポートです。ただし自営業の人が亡くなった場合は、「えっ、たったそれだけ……」という金額の場合もあるようです。
年金の繰下げ中に「68歳・喫茶店経営の夫」が逝去、67歳妻が店を継ぐも上手くいかず閉店…絶望しかない遺族年金額に「どう、生きていけばいいのか」 (※写真はイメージです/PIXTA)

街の中心商店街で喫茶店を40年…経営が厳しく

全国商工会連合会が行っている『小規模企業景気動向調査』の最新調査によると、2024年6月期景況は、売上額・業況・採算・資金繰りのDIはいずれも低下。特に売上額DIは、プラス値を維持しつつも、直近1年間で最も低いDIを記録しています。多くの業種でコロナ禍からの回復の効果を享受しつつも、それ以上に、コスト高や消費者の節約志向の影響が小規模企業経営を苦しめているといいます。

 

*DiffusionIndex(ディフュージョン・インデックス)の略で、企業の業況感や設備、雇用人員の過不足などの各種判断を指数化したもの

 

ちょうど1年前の調査結果を振り返ると、コロナ禍からの経済の正常化に伴う効果で、5期連続で売り上げDIがプラスで推移しつつも、コロナ融資の返済開始が資金繰りの悪化を招き、厳しい状況にあるとしています。いずれにしても、多くの小企業、個人企業は、厳しい経営環境にさらされているといえるでしょう。

 

開業40年を超える喫茶店をひっそりと閉店した内藤裕子さん(仮名・67歳)。ここ10年くらいはずっと経営が厳しかったといいます。

 

――夫も亡くなって……なんとか、お店を続けたかったのですが、経営が厳しくて

 

20代の頃、夫、隆さん(仮名)は脱サラし、街の中心商店街に喫茶店をオープン。子育ても忙しかった裕子さんは、たまにお店にたって手伝っていたといいます。「当時は肩が触れるほどの人でにぎわった商店街だった」と振り返るとおり、お店は繁盛したといいます。しかし、今や商店街全体が閑古鳥。

 

中小企業庁が行った『令和3年度商店街実態調査』によると、商店街の最近の景況「繁栄している(繁栄の兆しがある含む)」はわずか4.3%、 「衰退している(衰退の恐れがある含む)」は67.2%。また商店街への来街者数は、3年前と比較して「減った」と回答した商店街が68.8%に及んでいます。

 

商店街の衰退とともに経営が厳しくなっていった内藤さんの喫茶店。それでも常連さんの応援もあり、頑張ってきたといいます。