2024年8月に入ってから、日経平均株価の乱高下の話題で持ち切りです。投資家……なかでも新NISAスタートと同時に投資デビューをした投資初心者たちにとっては、気が気でない人も多いでしょう。このままNISAを続けるべきなのか? そんな疑問を抱えているかもしれません。本記事ではAさん夫婦の事例とともに、投資を続けていくべきか否かの判断基準について長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
「メンタルが持たない」「怖い」「騙された」NISAデビューも、早々に狼狽の投資初心者たち…インデックスファンドを買っていた、世帯年収970万円・30代夫婦による〈大暴落後〉の速やかな英断【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

今度は「つみたてNISA」にチャレンジ

次に始めたのは、当時話題になっていた「つみたてNISA」です。あまり投資の難しい勉強をするのが面倒だったAさん。ネットでいくつかのサイトを調べたところ、証券会社のランキングで一位だったインデックスファンドを選択。幸い、それから数年間は資産が順調に増えていきました。しかし依然として預貯金はゼロに近い状態です。

 

妻Mさんは昨年から近所の工務店で、事務のパートをはじめました。年収は120万円。世帯年収は970万円と結婚したばかりのころの水準と同程度に戻りましたが、やはり預貯金はありません。NISAの資産額である約200万円だけが貯えという状態です。

 

Aさん夫婦はここ数年間ずっと決めかねていることがあります。夫Aさんが独身時代から乗っている自動車が14年目になっているのです。燃費が悪く、車検費用も高くなってきたため、買い替えたいのですが、自動車ローンを借りることに躊躇しています。

 

そこにやってきたのが、2024年8月の日経平均株価の大暴落です。幸い資産額が200万円と多くはなく、これまで順調に増えてきたため深刻な影響はありません。しかし、なけなしの資産が今後乱高下するのであれば、積み立てを続けるのは大きな不安があります。

 

乱高下からすぐに、知り合いから紹介されたFPに相談することにしました。

 

NISAをやめるべきなのか?

「NISAを今後も続けてもいいのでしょうか?」と夫Aさん。

 

FPはAさんの家計を分析したのち、こう指摘しました。

 

「まず、NISAそのものの価値と、Aさんの家計の問題をわけて考える必要があります。Aさんが選択している銘柄はインデックス型であり、今回は乱高下の影響は受けましたが老後資金のためにあと30年以上運用するのであれば、あまり心配がないというのが個人的な見解です」。

 

ほっとするAさんですが、次の言葉で愕然としました「しかしAさんの家計を見ると、株価の動きとはまったく関係なく、NISAを続けるべきではないかもしれませんね」。