今度は「つみたてNISA」にチャレンジ
次に始めたのは、当時話題になっていた「つみたてNISA」です。あまり投資の難しい勉強をするのが面倒だったAさん。ネットでいくつかのサイトを調べたところ、証券会社のランキングで一位だったインデックスファンドを選択。幸い、それから数年間は資産が順調に増えていきました。しかし依然として預貯金はゼロに近い状態です。
妻Mさんは昨年から近所の工務店で、事務のパートをはじめました。年収は120万円。世帯年収は970万円と結婚したばかりのころの水準と同程度に戻りましたが、やはり預貯金はありません。NISAの資産額である約200万円だけが貯えという状態です。
Aさん夫婦はここ数年間ずっと決めかねていることがあります。夫Aさんが独身時代から乗っている自動車が14年目になっているのです。燃費が悪く、車検費用も高くなってきたため、買い替えたいのですが、自動車ローンを借りることに躊躇しています。
そこにやってきたのが、2024年8月の日経平均株価の大暴落です。幸い資産額が200万円と多くはなく、これまで順調に増えてきたため深刻な影響はありません。しかし、なけなしの資産が今後乱高下するのであれば、積み立てを続けるのは大きな不安があります。
乱高下からすぐに、知り合いから紹介されたFPに相談することにしました。
NISAをやめるべきなのか?
「NISAを今後も続けてもいいのでしょうか?」と夫Aさん。
FPはAさんの家計を分析したのち、こう指摘しました。
「まず、NISAそのものの価値と、Aさんの家計の問題をわけて考える必要があります。Aさんが選択している銘柄はインデックス型であり、今回は乱高下の影響は受けましたが老後資金のためにあと30年以上運用するのであれば、あまり心配がないというのが個人的な見解です」。
ほっとするAさんですが、次の言葉で愕然としました「しかしAさんの家計を見ると、株価の動きとはまったく関係なく、NISAを続けるべきではないかもしれませんね」。