大黒柱を失った遺族にとって、その後の生活を保障する「遺族年金」。それだけで遺族の生活が成り立つわけではありませんが、遺族の生活の支えになることは確か。そんな遺族年金の想定外で、老後の生活がピンチになることもあるとか。よくある遺族年金の思い違いとは?
45歳で夫を亡くした妻、週3でパート掛け持ちで「月収35万円」なんと息子2人を大学まで通わせたが…65歳からもらえる「遺族年金額」に余裕の老後は絶望的 (※写真はイメージです/PIXTA)

65歳からもらえる年金額…想定よりも「月4万円」も少ないという想定外

2人の息子とも18歳に達したのは、57歳のとき。以降は、遺族基礎年金はもらえませんが、代わりに遺族厚生年金に中高齢寡婦加算がプラス。これは、「夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない妻」、または「遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子が18歳到達年度の末日に達したため、遺族基礎年金を受給できなくなったとき」に、40歳から65歳になるまでの間、61万2,000円(年額)が遺族厚生年金に加算されるものです。

 

それから4年後、なんとか、2人の息子とも立派に社会人となり、恵子さんの子育てはひと段落。そして65歳。それまで勤めていた会社は定年退職となり、恵子さんも年金生活へと突入。諸々手続きをしに、年金事務所を訪れたといいます。

 

恵子さん、老齢年金は基礎年金と合わせて月14.7万円になる計算。「遺族年金と合わせたら、月20万円ほどね」と考えていたといいます。ただ年金事務所で判明した「えっ、そうなんですか?」という想定外が2つありました。

 

まず「特別支給の老齢厚生年金」がもらえるというもの。これは昭和60年の法律改正により、厚生年金保険の受給開始年齢が65歳に引き上げられたことで設けられた制度で、女性の場合は昭和41年4月1日以前生まれであることが要件のひとつ。恵子さんの場合、61歳から厚生年金の法令比例部分が受給できるはずでした。年金請求の期限は5年なので、恵子さんの場合、時効にかかる分はなく、全額が一時金として支給されます。

 

恵子さんにとって、このことは「ラッキー」であれば、もうひとつは「アンラッキー」でしょうか。それは、老齢年金に上乗せされると思っていた遺族年金は「ゼロ円」という事実です。