大黒柱を失った遺族にとって、その後の生活を保障する「遺族年金」。それだけで遺族の生活が成り立つわけではありませんが、遺族の生活の支えになることは確か。そんな遺族年金の想定外で、老後の生活がピンチになることもあるとか。よくある遺族年金の思い違いとは?
45歳で夫を亡くした妻、週3でパート掛け持ちで「月収35万円」なんと息子2人を大学まで通わせたが…65歳からもらえる「遺族年金額」に余裕の老後は絶望的 (※写真はイメージです/PIXTA)

月15万円の遺族年金…根性で2人の息子を大学まで通わせたシンママ

65歳となり年金生活をスタートさせた斉藤恵子さん(仮名)。さかのぼること20年前、45歳のときに夫を病気で亡くしています。「本当に大変だった……」と、当時を振り返ります。

 

夫婦共働きだったため、「死亡保障はそんなにいらないんじゃない? それよりも働けなくなったら一大事だから、医療保障を厚めに」と保険に入っていたため、夫の病気が判明し、余命いくばくもないと分かったときは絶望したといいます。

 

――病気が分かってから亡くなるまで1年ほど。心構えができたのは良かった

 

恵子さんが働いていたのは、従業員50名ほどの会社で、月収はその企業規模、年齢では平均的な27万円ほどだったといいます。そこに夫の遺族年金が月15万円ほど。

 

遺族年金は国民年金に由来する「遺族基礎年金」と、厚生年金に由来する「遺族厚生年金」の2種類。子どもが18歳までは遺族基礎年金を受け取れ、遺族厚生年金は受給要件に子どもの有無はありません。

 

※細かな要件は日本年金機構『遺族年金ガイド』を参照

 

遺族基礎年金の受給額は「81万6,000円+子の加算額(令和6年度)」。子の加算額は1~2人目は各23万4,800円、3人目以降は各7万8,300円です。遺族厚生年金の受給額は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4。また報酬比例部分の計算において、厚生年金に加入していたのが300ヵ月(20年)未満の場合は、300ヵ月として計算します。

 

3歳年上の夫が亡くなったことで受け取ることのできた遺族年金は、遺族基礎年金が月10.6万円、遺族厚生年金が月4.4万円。ほかにも児童扶養手当などもあったり、死亡保険金として500万円ほどが入ったり、そもそも恵子さん自身の給料もあったりと、親子3人が暮らしていくには特段、問題はなかったでしょう。

 

ただ「夫が亡くなったことで、もちろん収入は減りました。そのことで、子どもが何かを諦める、というのは絶対にイヤだった」と恵子さん。週に3回、就業後にパートを掛け持ちして(もちろん、会社の了承を得て)、毎月プラス8万円ほどの収入を得ていたとか。自身の給料と合わせて「月によって多少のブレはあるけど35万円くらい」。それで2人の息子を大学まで進学させたといいます。