大黒柱を失った遺族にとって、その後の生活を保障する「遺族年金」。それだけで遺族の生活が成り立つわけではありませんが、遺族の生活の支えになることは確か。そんな遺族年金の想定外で、老後の生活がピンチになることもあるとか。よくある遺族年金の思い違いとは?
45歳で夫を亡くした妻、週3でパート掛け持ちで「月収35万円」なんと息子2人を大学まで通わせたが…65歳からもらえる「遺族年金額」に余裕の老後は絶望的 (※写真はイメージです/PIXTA)

――えっ、何かの間違いでは?

 

これは、65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある場合、老齢厚生年金は全額支給となり、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となるルールによるもの。つまり老齢厚生年金に加えて老齢遺族年金も受け取れるのは、「老齢厚生年金」<「遺族厚生年金」の場合であり、またその差額だけを受け取ることができます。女性の場合、遺族厚生年金よりも自身の老齢厚生年金のほうが多く、結果的として「遺族年金はゼロ円」になってしまったのです。

 

月4万円ほどもらえると思っていた遺族年金がゼロ円になるという想定外。現役を引退後に、この思い違いはかなりのインパクトです。

 

――老後なんて余裕だわ、と思っていたけど、絶望的かしら

 

総務省『家計調査 家計収支編 2023年平均』によると、1人暮らしの高齢者の1ヵ月の支出は月14万円程度。恵子さんの場合、額面が月14.7万円なので、実際は12万円程度になると考えられます。平均的な暮らしを考えるなら、毎月、足りない分は貯蓄を取り崩す必要が出てきそうです。

 

――まあ、2人の子どもを大学に行かせるよりは全然ラクね

 

思い違いはあったものの、恵子さん、自身の老後に対してかなり前向きに考えています。

 

[参考資料]

日本年金機構『遺族年金ガイド』