パリ五輪で盛り上がっているなか、「オリンピックどころではない!」と気が気でない投資家も多い株価の大幅下落。なかでも今年、新NISAスタートと同時に投資デビューを飾った人たちにとっては、初めての試練ともいうべき大事件で、顔面蒼白になっている人も多いようです。
おい、聞いていた話と違うぞ!新NISAで投資デビュー「退職金2,000万円」を全額つぎ込む60歳定年サラリーマン、「日経平均大暴落」に悶絶 (※写真はイメージです/PIXTA)

退職金全額を使って「新NISAで投資デビュー」という暴挙に出てしまった

セミナーで聞くことができたのは、昨今の経済状況と退職金の運用について。そこで耳にしたことはあったものの、何かよく分からなかったNISA制度について詳しく知ることができました。

 

それまで投資など自分には関係のない話だと考えていた男性。しかし老後の安泰を考えるのであれば、さらなる資産形成を考えるべき……「よしっ!」と一大決心をし、新NISAで投資デビューを果たします。

 

――初心者なら日経平均に連動するインデックスファンドがおすすめ

 

そんなアドバイス通り、投資信託を購入した男性。順調な滑り出しに見えましたが、ここにきて株価が大暴落。顔面蒼白になり、悲痛な言葉を綴っています。

 

――俺の退職金、俺の退職金……どうしてくれるんだよ!

 

多くの投資家に衝撃を与えている株価の大幅下落ですが、男性はあろうことか、新NISAの年間投資枠の上限いっぱいを使い、さらに退職金のほぼすべてを投資に回してしまったらしく、気が気でない様子。「もうダメだ、全部売る!」と完全にパニック状態に陥っています。

 

退職金の運用でよくある失敗といえば、

 

・勧められた金融商品を理解せずに購入してしまう

・退職金の全額を一度に運用してしまう

・退職後の支出入を考慮せずに投資してしまう

 

特に退職金で投資デビューというケースでは、日々の値動きに一喜一憂しがち。「何も手につかない……」と、免疫がない人ほど、ドツボにハマってしまうことは珍しいことではありません。

 

また怪しい詐欺まがいの投資に引っ掛かってしまう人も。最近はSNSを駆使した投資詐欺が増加傾向だといいます。警察庁が発表した『令和6年1月~3月におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について』によると、今年3ヵ月の間に、報告件数は1,700件、被害総額は実に219億円。男女ともに50~60代の被害が多く、半数以上を占めています。

 

退職金の全額を投資に回すという極端な行動に出てしまった男性。今回の株価暴落もひとつの勉強だと思って、堅実な資産形成を進めていってほしいものです。

 

[参照]

警察庁『令和6年1月~3月におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について』