金利0.002%の今、「働いてお金を貯めるということ」
日銀の発表によるとバブル期の預金金利は5%~6%にまで上っていました。一方現在は、各銀行によって利率に多少の変動はありますが、メガバンクでは定期預金でも金利0.002%です。
かつては銀行にお金を預けておくだけで、1年間で100万円が106万円に成長していたのです。貯金そのものが「投資」といえる環境でした。しかし超低金利が続くなか「貯金」のあり方は大きく変わり、口座はほとんど「お金を預けておくただの倉庫」になってしまったのです。
40代・独身の大槻さん(仮名)。現在の収入は月25万円、手取りでは20万円ほどになります。貯金額は44万円ですが、受け取った利子に愕然としたそうです。
「見慣れてはいますが…44万円貯金していて『1円の利子』がついたと通知がきました。わざわざ教えてくれなくてもいいよ、と思ってしまいましたね」
なお40代の平均年収は、40歳~44歳の男性が602万円、女性335万円。45歳~49歳の男性が643万円、女性346万円です(国税庁『令和4年分 民間給与実態統計調査』)。また単身世帯の金融資産保有額は平均値が871万円、中央値が100万円。大槻さん、はるかに少ない金額といえますが……。
「独身で、この貯金額で、不安しかないです。今まで何をしていたんだろうという気持ちはあります。ただ、奨学金を返したり、母にも何回かまとまったお金を渡したりしていて、『自分ではどうしようもなかった』という正直な思いもあります」
厚生労働省『2023年 国民生活基礎調査』には、日本国民の生活意識についてアンケート結果が記されています。「大変苦しい」「やや苦しい」「普通」「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」の5択のうち、「大変苦しい」「やや苦しい」と答えたのは全体の59.6%。前年の51.3%を上回る結果となりました。
「超低金利」「人生100年時代」「老後資金問題」といった言葉が散々取り沙汰され、資産形成への危機感が高まっていますが……。
「僕は独身だし、この先も結婚は多分無理だし、まあその日暮らしで生きてはいけるでしょうね。ただ、なんですかね。人生ってそういうものなんでしょうか」
投資信託や不動産投資をはじめとした資産形成に注目が集まっていますが、それは預貯金にゆとりのある、限られた層の話です。前述の『2023年 国民生活基礎調査』より日本人の所得分布をみると、「100万〜200万円未満」が14.6%、「200万~300万円未満」が14.5%、「300万〜400万円未満」が12.9%と、所得300万円未満の世帯が最も多くなっています。
日本は「また新たな停滞」の様相を呈しています。貯蓄すら、「お金持ちだけにできること」になってしまったのでしょうか。労働者の生活地盤はゆらゆらとぐらついたままです。
税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【12/10開催】
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【12/10開催】
不動産「売買」と何が決定的に違うのか?
相続・事業承継対策の新常識「不動産M&A」とは
【12/11開催】
家賃収入はどうなる?節目を迎える不動産投資
“金利上昇局面”におけるアパートローンに
ついて元メガバンカー×不動産鑑定士が徹底検討
【12/12開催】
<富裕層のファミリーガバナンス>
相続対策としての財産管理と遺言書作成
【12/17開催】
中国経済×米中対立×台湾有事は何処へ
―「投資先としての中国」を改めて考える