(※写真はイメージです/PIXTA)

将来の生活への不安が増すなか、投資による資産形成を促す声が高まっています。「貯金だけでは食っていけない時代」になった……ともいえますが、新NISAや個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)に過度な期待をしすぎるのも考えものです。

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    高齢化社会「年金足りず老後破産」の現実味

    国民年金受給者の「老後破綻」の話を聞くと、「ウチは厚生年金をもらえる。ずっとサラリーマンだったし、大丈夫だ」と考える人は少なくないのではないでしょうか。

     

    しかし厚生労働省年金局が発表した『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』では、以下の事実が報告されています。

     

    ●厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は、老齢年金では14万4,982円となっている

     

    ●国民年金受給者の老齢年金の平均年金月額は5万6,000円、令和4年度新規裁定者で5万4,000円となっている

     

    月14万円。サラリーマン時代を思うと、なんとも心細い数字ではないでしょうか。さらに同調査では、受給者が毎年増加していくなか、厚生年金受給額はこの5年間で1,300円以上減少していることが示されています。

     

    ■年金で足りるか?支出額を調べると…

     

    総務省『家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支』では二人以上の世帯および単身世帯の家計収支の状況について詳細が記されています。

     

    65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)について見ていくと、1ヵ月あたり実収入は24万6,237円、消費支出は23万6,696円となっています。実収入の89.5%は社会保障給付。そして日々の不足分は「2万2,270円」。

     

    また世代別に65歳以上の無職世帯の家計収支を詳しく見ていくと、65~69歳世帯の生活資金の「黒字」は「-4万2,889円」、70~74歳世帯では「-2万4,852円」、75歳以上世帯では「-1万5,266円」となっています。

     

    ちなみに、2021年調査では75歳以上世帯は「485円」とギリギリ黒字でしたが、それすらも赤字に転換してしまったことになります。

     

    「破産へのカウントダウン」という言葉が、現実味を帯びてくることがわかるでしょう。「老後破産」は誰にとっても決して他人事ではないのです。

     

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