日本銀行がマイナス金利政策解除で17年ぶりの利上げをしたことは大きな話題を呼びました。これにより、今後悲惨な状況に陥る人と、数年後に恩恵を受けうる可能性のある人に、二極化するかもしれないそうで……。本記事ではDさん夫婦の事例とともに、住宅ローンの金利上昇がおよぼす各家計への影響について長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
父と兄は開業医、世帯年収2,050万円のコネ持ち・恵まれた30代夫婦…7,000万円のマイホーム購入をやめて、堅実に暮らし続ける「まさかの理由」【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

30代、そろそろ家を買おうか…

<事例>

夫Dさん 33歳 会社員 年収1,700万円
妻Eさん 31歳 自営業 年収350万円
子供1人
預貯金3,100万円

 

DさんとEさんの夫婦は首都圏近郊に住んでいます。夫Dさんは外資系金融機関に勤務しています。妻Eさんは自宅を使って日中にネイルサロンを営む自営業です。

 

Dさんは年収1,700万円と高所得ですが、半分以上を占めるのがインセンティブ給です。基本給自体は多くはなく、営業成績によって収入が乱高下する仕組みです。妻Eさんのネイルサロンは固定客が多く売り上げは安定していますが、コロナ禍の初期に休業を余儀なくされ、コロナ前の売り上げまで回復できていません。

 

最近、夫婦で持ち家を買おうかという話題になることが増えました。現在は賃貸マンションに暮らしていますが、決して広くはなく、ネイルサロンと生活空間が同じであることなどから不便を感じています。できることなら、近隣で戸建ての家を買い、サロン用の部屋と専用の玄関を設置したいと考えています。ただし固定客がいる都合であまり遠くに移動はできません。徒歩で5分以内の場所で物件を探したいと思っていますが、駅近であるため、いい物件は7,000万円以上と高く、勇気が出ません。

 

一方、夫のDさんは自分の給料は長く続かないものと考えています。自分の父親と兄が開業医であり、そのツテを頼って営業活動をし成績を作っています。いわゆるコネ営業であるため、自分の実力とはいえないと冷静に判断しています。いずれ売れなくなるときも来るかもしれず、年収に対してあまり大きな気持ちにはなれません。堅実な考え方の持ち主です。

 

世帯年収は2,050万円です。不自由がない暮らしができていると自覚していますが、裕福とはいえないというのが夫婦で共通する感覚です。

 

自分たちにとって適正な住宅予算を知ろうと、FP事務所を訪れました。現状をFPに伝えたところ、FPからは予想外の質問が。