給料を増やしたいと考えるのであれば、出世・昇進を目指すのが近道のひとつ。ただ給与が増えてからといって、サラリーマンの上位10%と「勝ち組」に仲間入りをしても、歓喜するのは一瞬だけというのがお決まりのパターンです。みていきましょう。
大手建設の大卒サラリーマン、50歳で念願の「課長」に昇進、年収〈1,000万円超え〉も給与明細を直視できず「何かの間違いでは?」

年収1,000万円の大台「サラリーマンの上位10%」の仲間入りを果たしたが…

大手建設業勤務の50歳のサラリーマン。入社して30年弱で課長に昇進。金融関連に就職した大学の同期は42歳で課長。数年前にはすでに部長に昇進したという風の噂(「金融、保険業」の部長職の平均年齢は47.5歳)。

 

「それに比べたら俺は、随分と苦労したな……」、そう感慨深くなるかも。それでも年収は係長職平均763.2万円と比べて、200万円近くも増え、1,000万円の大台目前に。

 

年収1,000万円。この大台に達するのは、日本のサラリーマンの上位10%だけ。そう考えると、思わず目頭が熱くなるかも。しかし、そんな感動も、最初の給料日に「ああ、やっぱりそうか」と落胆に変わってしまうかも。

 

たとえば月収58万円、年収1,000万円だとすると、毎月20万円近く天引きされて、手取りは40.7万円ほどに。年収では300万円近く減り、703.8万円ほどになります。

 

【月収58万円の1,000万円プレイヤーの給料明細(一例)】

●額面:58万0,000円

●手取り:40万7,742円

(内訳)

・所得税:4万4,631円

・住民税:3万5,293円

・健康保険:2万9,500円

・厚生年金:5万3,985円

・介護保険:5,369円

・雇用保険:3,480円

※2024年6月から定額減税の調整あり

 

係長時代から月収は額面で10万円、年収で200万円近く増えましたが、手取りでは5.6万円、年収では150万円ほどの上昇にとどまります。この事実をなかなか直視できず、何度も給与明細を眺めては「何かの間違いであってほしい」と呟く……これもサラリーマンあるあるです。

 

この額面と手取りの差、社会人になったときから何度も繰り返し目にしてきたものですが、出世・昇進したときのガッカリ感はかなりの衝撃度。さらに給与が増えれば増えるほど天引き額は増えていき、衝撃はさらに増していきます。

 

さらに今後、社会保障費の増額が既定路線のようで、さらに天引き額は増えていきそう。給与明細を開いてはあげてしまう悲鳴。今後、さらにその声が大きくなりそうです。

 

[参考資料]

ソニー生命保険株式会社『社会人1年目と2年目の意識調査2024』

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』