実家に帰った長女、家のなかに母の姿はなく…
そこで盆でも正月でもないタイミングではありましたが、長女はひとり、実家に帰省。ただそこに母の姿はなかったといいます。
――あれ、お母さんは?
長女の問いに何も答えない長男。そこで違和感を覚えたといいます。母が不在というよりも、母が暮らしている痕跡がないのです。そこで判明したのが、知らないうちに母が介護施設に入居したという事実。「認知症がひどくなり、施設に入るしかなかった」と長男。そんな大切なことを相談なしで決めてしまうのか、不信感もありましたが、兄も大変だったのだろうと納得したといいます。
長男曰く、ホームに入って1ヵ月ほど。そこで母のいる介護施設に面会にいったところ、そこでも違和感。どちらかといえばふくよかだった母が、明らかに痩せている……そこで施設のスタッフにきちんと食事をとれているか聞いたところ、「もともとすごく痩せていたけど、最近はご飯もちゃんと食べて健康的」と返答。
――えっ、痩せていた!?
そこで長男を問い詰めたところ、母の介護など、ろくにしていなかったことが判明。認知症が進行し、仕事に支障が出そうになったので、施設への入所を決めたという顛末。それでも「俺なりに頑張った」と主張する長男。それに対し「遺産分割のとき、俺に任せておけ、という約束はなんだったのか」と責める長女。長男は何も言い返せなくなったといいます。
施設に入っているとはいえ、とても長男に任せられないと考えた長女。
――もう、お兄ちゃんにお母さんを任せられない。私が全部やるから。施設の費用はお母さんの預金通帳から引き落とし? それも私に預けて
それに対し、頑として通帳を渡そうとしない長男。そこでさらに問い詰めると、長男には借金があり、すでに父の遺産を使い果たしてしまっていること、月16万円の母の年金にも手をつけてしまっていたこと、生活が苦しかったので、その分食費などを削っていたこと(=だから母は激やせ)……このような醜態が通帳からも読み取れるので、長女に渡したくなかったことが判明。あまりの言い訳に、長女は怒りで震えが止まらなかったといいます。
――もう借金も返せないから、この家も売ろうかと……
――何いっているのよ! ふざけないで! 遺産分割もやり直しよ!
とりあえず長女は、長男のことはほっといて、母のことだけを心配しようと決めたといいます。