(※写真はイメージです/PIXTA)
「私が稼いで何が悪いの?」キャリア妻の自信と誤算
都内の広告代理店で管理職を務める佐藤美咲さん(仮名・42歳)。同い年の夫・健太さん(仮名・42歳)と、中学生の娘との3人暮らしです。美咲さんの年収は約800万円。夫の年収700万円を上回っており、いわゆる「パワーカップル」として余裕のある生活を送っていました。
「夫は私の仕事を尊重してくれていますし、家事も分担制です。私は自分のキャリアに誇りを持っていましたし、経済的に自立していることは家族にとってもプラスだと考えていました」
事の発端は、盆暮れの恒例となっている義実家への帰省でした。義父の義雄さん(仮名・75歳)は、典型的な“昭和の人”。専業主婦の義母に家のことをすべて任せ、定年まで勤め上げた人物です。
夕食の席で、娘の進学費用の話題になりました。美咲さんは、私立高校の学費負担が重いこと、そして自分たちの世帯年収が高いために、高校授業料無償化(就学支援金)の対象外になってしまうことへの不満を口にしました。
「税金ばかり取られて、何の恩恵もないんです。一生懸命働いているのに損ばかりで」
その言葉が、義父の逆鱗に触れました。
「女が外で稼いでどうするんだ! そんなんだと、健太の顔が立たんのだろうが!」
突然の怒号に、美咲さんは呆気にとられました。義父は顔を真っ赤にして続けます。
「女が男より稼ぐなんて、家庭の調和を乱しているだけだ。女が稼いでも、ろくなことがない!」
その場は夫が仲裁に入り事なきを得ましたが、美咲さんの腹の虫は治まりません。「時代錯誤も甚だしい」と怒りが込み上げました。
「私の年収のほうが高いことは、夫が何かの拍子にポロっと言ったことがあったみたいで、お義父さんはずっとそのことが気に食わなかったみたいです。夫は外で仕事をして、妻は家庭を守るなんて時代ではないし、妻のほうが年収は上という家庭も珍しくないですよね。私と夫は業界が違いますから、給与水準が違って当たり前だし、給与で優越なんてつけられない。お義父さんの発言は、健太さんへの侮辱でもあると思うんです」