高齢の母の面倒をみる代わりに、長男「多めに遺産分割」を主張
実家では77歳の母と53歳の長男の二人暮らし。51歳長女と48歳次女は結婚を機に実家を出て、帰省できるのは盆と正月くらいという距離の町に住んでいます。
長男は元々実家暮らしではなく、大学進学と共に実家を出たきりでしたが、3年前に父が亡くなったのを機に戻ってきたそうです。高齢の母を心配して……というよりも、離婚してひとり自宅を追い出された、というのが正しい言い方なのだとか。
また父が亡くなった際の遺産分割では、自宅のほか、預貯金1,000万円ほどはすべて長男が相続。「わたしはこの家に住み続けられたらいいから、遺産はあなたたち3人(長男、長女、次女)で分けなさい」と言った母に対して、長男は「それであれば、俺が実家に戻って母さんの面倒もみるから、遺産は多めに分けてほしい」と主張。長女と次女が最も懸念していた「高齢母のひとり暮らし」が払拭されるのであればと納得したうえで、父の遺産はすべて長男が相続することになったといいます。
まさに円満相続。ただ、それを揺るがすことが起きたと長女。前触れは2年ほど前からあったといいます。
――お母さんが認知症に!?
「最近、母さんの物忘れが多くなった気がする……」と長男から連絡があり、病院に行くように勧めたところ、認知症と診断。日常生活に大きな支障をきたすほどではないものの、気がかりな毎日がスタートしました。
――この前会った時は、そんなにひどくなかったから、安心していたんですが
ある日、ふと「最近、母の声を聞いてない」ことに気づいた長女。確かに、認知症と診断されてからは、長男から母の様子を聞く機会が多くなり、電話をしても母とは話さないで終わることも多かったとか。
そこで次の電話で「お母さんにかわって」と言ったところ、「ちょうどお風呂に入っている」と話せずじまい。以降も「ちょうどトイレ」「もう寝ちゃった」などと母と話せないことが続き、長女はさすがに心配になったといいます。