遺産分割、相続放棄、遺留分…それぞれの時効
相続人の間で遺産を分ける手続きである「遺産分割」。父の遺産分割の際、長女と次女は「遺産はいりません」と、「相続放棄」をしたことになりますが、原則として、「相続放棄」を撤回することはできません。
相続人全員の合意があれば遺産分割をやり直すことはできます。今回の件では、母が面倒を見るといった代わりに遺産のすべてを長男が相続しました。これに対して「約束と違う」と遺産分割協議を解除できるかといえば、最高裁は以下のように判断しているので難しそうです。
ただ相続人全員で再分割協議を行うことを否定したものではないので、長男も含めて同意があれば遺産分割を再度話し合うことはできます。しかし長男が同意するとは考えられないので、再び遺産分割が行われる可能性はゼロと考えられます。
遺留分減殺請求によって遺留分を主張するといったことも考えられます。遺留分は一定の相続人に対して、遺言でも奪うことのできない遺産の一定割合の留保分のことであり、法定相続分の2分の1が認められます。実家の価値が2,000万円だとすると、長女や妹には500万円の法定相続分があり、その2分の1の250万円の遺留分が認められる可能性があります。遺留分減殺請求の時効は以下の通り。
民法第1042条
減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。 相続開始の時から十年を経過したときも同様とする。
遺留分減殺請求を行うことができれば、実家の売却は防げるかもしれません。
[参考資料]