不動産投資ローンの頭金の相場
不動産投資ローンの頭金の相場は、物件価格の1〜2割が一般的だと言われています。例えば3,000万円の物件を購入しようとした場合に300~600万円の頭金を求められるというイメージです。
しかし、前述したように必ず頭金が必要というわけではありません。勤務先や借入状況など個人の属性によって返済能力が高いと判断される場合は、頭金なしの「フルローン」でも審査に通る可能性があります。
一方で、年収が低い場合や勤務先の経営状態があまり良くないなど、返済能力が高くないと判断された場合、頭金の水準が高めに設定される可能性もあります。
頭金を支払うメリット4選
頭金は不動産投資ローンを借りる人の返済能力を示すもので必ず必要なものではないことを説明しました。しかし、金融機関から求められていない場合でも頭金を支払うことによってメリットがあります。
ここでは、頭金を支払うことで得られるメリットを解説します。
金融機関のローン審査に通りやすくなる
頭金を支払うことで金融機関でのローン審査が通りやすくなることもあります。
不動産投資ローンを利用するには金融機関のローン審査を通過しなければいけませんが、ローン審査は借入額が大きくなるほど厳しくなります。
頭金を支払うことで融資金額と担保評価額のギャップが少なくなり、債務者が返済不能になっても競売等の方法によって回収見込みが立ちやすくなります。金融機関から見た貸倒リスクが減るため、ローン審査に通りやすくなります。
毎月のローン返済額を減らすことができる
頭金を支払うことで借入金額が少なくなり、毎月のローン返済額を減らすことができます。
不動産投資において発生する支払いの多くはローンの元本返済と支払利息の支払いのため、借入金額を少なくすることでメリットにつながります。
さらに、毎月の返済額が小さくなることで空室や家賃回収トラブルなどが発生しても手出しを抑えることができます。不動産投資における収入は主に家賃収入なので、それが途切れた場合には給与など自身の収入から返済が必要になります。
また、不動産投資ではローンの返済のほかに、建物の修繕費や管理費、税金の支払いなどの経費も発生します。そのため、毎月のローン返済額を抑えることで金銭的な余裕を持ちながら投資を行うことができます。
金利変動リスクを抑えることができる
頭金を支払うことで借入金額(=元金)を減らし、金利変動に対する影響を抑えることができます。
不動産投資ローンの金利には一定期間金利が変わらない固定金利と、経済状況や物価の変動に合わせて金利を見直す変動金利の2種類があります。
変動金利は、一般的に景気や物価が上昇している場合に金利が上がり、借入金額が多いとそれだけ支払利息の金額も多くなります。頭金を入れて借入金額を少なくすることで、金利上昇のリスク対策にもつながります。
金融機関によっては固定金利を選ぶこともできますが、一般的に固定金利は変動金利よりも利率が高く設定されているため、月々の支払いが大きくなります。
物件売却がしやすくなる
頭金を入れることで物件売却などの出口戦略の幅が広がります。出口戦略とは、購入した物件を売却するか保持し続けるかなどの最終的なゴールを指します。
一般的に不動産投資によって得られる収益は、購入した価格よりも高い価格で売却し利益を得るキャピタルゲイン(不動産売却益)と、物件保有期間中の家賃収入によって得られるインカムゲインの2つに大別されます。
しかし、突発的な要因で売却を選択することもあると思います。例えば、「満室経営をすることが難しくなった」「借入を減らしたい」などが考えられます。
頭金を入れない場合は物件売却時に売却価格がローン残高を下回り、その差額を預貯金など自己資金の中から支払う必要が生じる可能性が高くなることから、早期売却の選択が取りにくくなる一方で、頭金を入れることで借入金額が少なくなるため、早期に売却した場合でも売却価格がローン残高を上回る可能性は高まり、早期売却も選択しやすくなります。