(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資を行う上で、固定資産税は毎年必ず発生する経費の一つになります。しかし、その計算方法は土地と建物で異なり、さらに様々な軽減税率が存在するため、多くの投資家を悩ませています。そこで本コラムでは、固定資産税の基本的な概念から計算方法、不動産投資における固定資産税の軽減措置などについて解説します。物件価格別に固定資産税のシミュレーションも行いますので、固定資産税を理解して不動産投資の収益性を最大化しましょう。

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不動産投資の固定資産税は固定資産税評価額の1.4%

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(画像:PIXTA)

 

固定資産税とはその年の1月1日時点で土地や建物を所有している個人や法人に対して、市町村などの自治体が課税する地方税です。納税義務者は4月から6月頃に納税通知書が届き、納付書を用いて納税します。納付時期は市町村によって異なりますが、4月、7月、12月、翌年の2月の年4回に分けて分納するのが一般的で、一括納付することも可能です。

 

固定資産税は、土地や家屋、償却資産などの固定資産の資産価値を示した評価額に、固定資産税の標準税率を乗じて計算されます。固定資産税の標準課税率は、1.4%が適用されます。

 

固定資産税評価額とは固定資産課税台帳に記載された課税の基準となる評価額のことで、一般的に市場価格の70%程度とされています。1.4%という税率は全国で統一された標準税率ですが、市町村によっては独自の税率を設定している場合もあるため、投資物件が所在している自治体に確認することが重要です。

 

また、都市部の物件の場合、固定資産税に加えて都市計画税(標準税率0.3%)が課税されることがあり、合計で1.7%の税率となる可能性があります。さらに、軽減措置が適用される場合もあるため、これらの要素を考慮して固定資産税を正確に見積もり、投資計画に組み込む必要があります。

 

実際の負担率は1.4%よりも低くなる

固定資産税は標準税率1.4%とされていますが、実際の負担率はそれよりも低くなることが一般的です。その理由として、まず固定資産税の計算基準となる「固定資産税評価額」は、市場価格よりも低く設定される点が挙げられます。一般的に市場価格の70%程度とされているため、同じ1.4%の税率でも実際に支払う固定資産税は市場価格を基準に考えるよりも低くなります。

 

さらに、多くの不動産では軽減措置が適用されるため、固定資産税の実質負担はさらに軽減されます。例えば、住宅用地に対する減税措置や新築住宅の特例などがあり、こうした制度を活用することで、最終的な税負担は1.4%よりも低くなることが一般的です。

 

後述する計算シミュレーションでもわかるように、これらの要因を考慮すると、不動産投資における実際の固定資産税負担率は1.4%を下回る可能性が高いです。

 

固定資産税は1月1日時点で所有者が判断される

固定資産税の納税義務者は、前述した通りその年の1月1日時点での不動産所有者です。つまり、1月1日に所有している人が、その年の固定資産税を支払う義務を負います。これは年の途中で所有権が移転した場合や、家屋を取り壊された場合でも変わりません。

 

例えば、1月2日以降に不動産を購入した場合には、その年の固定資産税は前所有者が支払うことになります。しかし、前所有者からすると実際にその年の所有権がないにもかかわらず、1年分の固定資産税を支払うのは大きな負担になります。そのため、実態は決済日を基準に日割り計算を行い、売主と買主の間で負担割合を決めることが多いです。

 

また相続の場合には、被相続人(亡くなった人)が1月1日時点で所有していた場合、相続人が納税義務を引き継ぎます。

 

固定資産税の支払いタイミングと支払い方法

固定資産税の支払いは、毎年4月頃に市区町村から送付される納税通知書に基づいて行います。支払い方法については、以下のように複数あります。

 

・スマートフォン決済

・地方税の納税システム(eLTAX)を利用

・金融機関や自治体の窓口での現金支払い

・コンビニエンスストアでの現金支払い

・口座振替

・ペイジーでの支払い

・クレジットカード払いや電子マネーでの支払い(一部の自治体のみ可能)

 

固定資産税は通常、年4回に分けて納付することができますが、一括で支払うこともできます。納付回数や期限は自治体によって異なる場合があるため、納税通知書の内容をよく確認しましょう。また、支払いを忘れたり遅れたりすると延滞金が発生するため、期限内に確実に支払いを完了させることが大切です。

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