共同担保とは?
共同担保(共担)とは、複数の不動産に担保権を設定することを指します。単独の不動産では担保価値が不足する場合に、他の不動産にも担保権を設定することで、融資が受けやすくなります。また、金利や手数料などの借入条件を有利にすることもできます。
不動産を担保とする場合、基本的には抵当権を設定することとなるため、「共同抵当」と呼ばれることもあります。抵当権とは、債務者が返済できなくなった場合に、債権者が抵当権を設定した不動産を売却し、優先的に弁済を受けられる権利のことをいいます。
複数の不動産を担保とする共同担保は、債権者にとっては債権回収の可能性を高められる手段であり、債務者側にとってはより大きな金額の融資を受けやすくなるというメリットがあります。
共同担保は、最初に担保を設定するときに一括して設定するだけではなく、すでに担保が設定されている物件にあとから追加して設定することも可能です。
共同担保には、大きく分けて二つのパターンがあります。一つ目は、土地と建物をまとめて共同担保とするパターンです。例えば戸建て住宅を購入する際に、その土地と建物の両方を担保に入れるケースがこれに該当します。
二つ目は、これから購入する不動産に加えて、現在保有している不動産を共同担保とするパターンです。例えばすでにマイホームを保有している人が、新たに投資用マンションを購入する際に、既存のマイホームと新規購入する投資用のマンションの両方に担保を設定するケースです。
共同担保目録とは?
共同担保目録(共担目録)とは、不動産登記簿のうち共同担保を一括して記載した登記事項のことをいい、現在は不動産登記の際に登記官が職権で作成します。あくまで登記簿の一部であるため、共同担保目録だけを請求して取得することはできません。
共同担保目録には、担保が設定された不動産を特定するための情報や抵当権の順位などが記載されており、どの不動産が・どのような債権の担保になっているのかを一目で把握することができます。
共同担保目録に記載される内容
- 記号及び番号:登記申請の受付番号
- 番号:不動産に割り当てられた番号
- 担保の目的である権利の表示:不動産の所在や地番など
- 順位番号:抵当権の順位(優先的に弁済を受けられる順位)
債務を全て完済した場合や、債務者の事情により担保となっている不動産を任意売却した場合には、法務局で抵当権の抹消登記を行う必要があります。抵当権の抹消は、債務者自身で行うことも珍しくはありませんが、司法書士に依頼するのが一般的です。
基本的に共同担保には長期保有物件を差し入れる
基本的に、共同担保には長期保有を前提とする物件を差し入れましょう。後ほど詳しく解説するように、共同担保を設定するとその不動産を処分するのに債権者の承諾が必要となり、自由に売却や建て替えができなくなるといったデメリットがあるためです。
そのため共同担保には、将来的に売却を考えている投資用物件や、建て替えを検討している物件ではなく、自宅のように長期間にわたって保有し続けることを前提とした物件を選ぶようにしましょう。ただし、自宅を共同担保に入れるということは、返済が困難になった場合に住む家を失うリスクも伴うということを十分に理解しておく必要があります。
