不動産を購入するときのローンには「不動産投資ローン」と「住宅ローン」があります。「住宅ローンから不動産投資ローンに変えて賃貸するケース」や「住宅用と投資用物件のどちらを先に買うか」といった場面で、これらの違いが気になる人も多いと思います。そこで本コラムでは、不動産投資ローンと住宅ローンの違いについて解説します。また、不動産投資ローンと住宅ローンはどちらを先に利用すべきかについても紹介します。不動産投資を検討中の人はぜひ最後までご覧ください。

 

不動産投資についてもっと知りたい人は
こちらもチェック>>>

 

不動産投資ローンと住宅ローンの違いは?

(画像:PIXTA)
(画像:PIXTA)

 

不動産投資ローンと住宅ローンは、対象物件が投資用であるか、自己居住用であるかという点で異なります。不動産投資ローンを自宅購入に使うことはできませんし、その逆もしかりです。

 

2つのローンは上記の借入目的以外にも様々な違いがありますので、詳しく説明します。

借入の目的

不動産投資ローンは、アパートやマンション投資などの事業に対して金融機関から受ける融資で、賃貸や売却などの経営を目的とした物件の購入費用で利用します。一方で、住宅ローンは本人や家族が生活するための不動産を購入する際に受ける融資で、賃貸経営を目的とした物件の購入費用には使えません。

 

もし住宅ローンを組んで投資用物件の購入費用にした場合、詳しくはこの後で説明しますが、重大な契約違反とみなされて一括返済を求められることがあります。

 

返済期間

返済期間は、不動産投資ローンは物件の法定耐用年数や個人の属性に従って金融機関が判断しますが、住宅ローンは「フラット35」など35年で返済する場合が多いです。

 

返済原資

返済原資は借入金を返済していく資金を指します。不動産投資ローンの返済原資は毎月の家賃収入、住宅ローンの返済原資は一般的には毎月の給与収入となります。

 

なお、不動産投資ローンでも入居者がいない場合などは、過去の家賃収入で得た預貯金や給与収入などから捻出することとなります。

 

最大融資限度額

最大融資限度額とは、最大で借りられる融資の金額です。不動産投資ローンの方が、住宅ローンよりも最大融資限度額は高くなっています。不動産投資ローンは事業をする投資家に対する融資ですが、住宅ローンは個人に対する融資となり、返済原資も家賃収入があるので不動産投資の方が高いと考えられます。

 

最大融資限度額は一般的には不動産投資ローンでは年収の7~10倍、住宅ローンでは5~7倍程度ですが、金融機関によって異なります。

 

金利

不動産投資ローンの方が住宅ローンよりも金利は高くなるのが一般的です。金融機関から見ると、不動産投資ローンは事業に対して大きな融資限度額を設定し貸し出すため、貸倒リスクが高くなるためです。

 

また、不動産投資ローンの金利は年利1.5%~3.5%程度とされ、住宅ローンの金利は年利0.5%~2.0%程度といわれています。

 

審査基準

不動産投資ローンの審査では個人の信用度と物件の収益性を見ますが、住宅ローンは返済原資が給与収入となるため個人の信用度がより重視されます。

 

<不動産投資ローン審査基準>
・年収、勤務先、勤務年数、個人信用情報(ローンやクレジット返済の遅延情報など)
・物件の担保評価(立地や築年数などを踏まえた収益性)
・具体的な収益計画(家賃収入の収益状況や修繕費などの損益)

 

<住宅ローンの審査基準>
・年収、勤務先、勤務年数、個人信用情報(ローンやクレジット返済の遅延情報など)
・物件の担保評価(土地と建物それぞれの評価金額)
・簡易的な月々の家計状況

 

なお、金融機関によって融資審査の基準は異なります。

 

契約名義人の制限

不動産投資ローンでは金融機関によっては法人名義で契約できることがありますが、住宅ローンは法人名義で契約できません。住宅ローンは個人が居住する住宅の購入を目的としたローンであるためです。その法人の経営者が購入物件に住んだ場合でも住宅ローンを法人名義で組むことはできず、不動産担保融資や不動産投資ローンなどを利用することになります。

 

次ページ不動産投資ローンと住宅ローンはどちらを先に利用すべき?