圧倒的な人手不足から、企業側よりも求職者の方が立場が強くなってきたといえるのが現在の転職市場です。こうした売り手市場の中、オファーする企業側はどのような視点・距離をもって求職者と向き合えば良い結果をつかむことができるのでしょうか。本記事では、東京エグゼクティブ・サーチの代表取締役社長・福留拓人氏が、企業側が求職者に上手にオファーするにポイントについて解説します。
売り手市場に企業はどう対応する?オファー殺到の「超優秀人材」を獲得するためのテクニック【人材紹介のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

良いポジションをキープして選考をコントロールする

そういうわけで、2番手から3番手グループが浮上してくるのです。わかりやすく説明すると、まず先頭でオファーを出した企業の条件をヒアリングして、その内容より優れたオファーを出せるポジショニングに自社をコントロールすることです。

 

最近、TESCOで統計を取りましたが、選考が先頭で推移した場合、その決定率は10%を切っていました。そして2番手から3番手グループが内定受諾の実に70%を占めているというデータが示されました。「他はおいくら」と提示された後に「うちはそれに若干プラスします」と言うことがどれほど有利かわかるでしょう。先頭は常に偏差値の50になってしまいます。ですから50以上のオファーの枠に入るには、先頭だと不利になってしまいやすいのです。

 

しかし、後方だと先ほど指摘したように「差し」や「追い込み」が届かずにゴール板を通過してしまいやすいわけです。よって差せるポジション、追い込みができるポジションにいることが大切です。

 

ということで、先頭はご縁があればトントン拍子で進むので、勢いで行けるような気がするのですが、オファーのところで行き過ぎてしまい、いまお話ししたような状況になりかねません。そのため、進み過ぎているなと思ったら懇親を深める会食の場を意図的にやや遅めに設定して、選考の速度を他の企業よりやや抑えめにする。そういったテクニカルなことをして飛び出し過ぎないようにコントロールすることも、これから人事担当者には求められてくるのではないでしょうか。

 

整理すると、大本命、超ブランド、そういった企業でないのであれば、一番手と最後方に位置するのは確度を下げやすくなります。他社のオファーを見ながら後出しでベターな手を打てる、そういった状況に選考をコントロールしておくこと。これをテクニックのひとつとしてご検討されてはいかがでしょうか。

 

 

福留 拓人
東京エグゼクティブ・サーチ株式会社

代表取締役社長